候補者の訴えに拍手を送る有権者

 第26回参院選が公示され、7月10日投開票へ向け18日間の選挙戦がスタートした。佐賀選挙区は自民現職に新人4人が挑む構図となった。前回2019年の投票率は全国が48・80%、佐賀も45・25%と5割を切り、過去2番目の低さだった。今回、候補者数は多いものの、前哨戦から盛り上がりを欠いた印象は否めず、低投票率が懸念される。物価高騰にしても、新型コロナウイルス対策にしても、私たちの暮らしと政治はあらゆるところでつながっている。無関心ではいられない。選挙は政治と向き合う「対話」の機会でもある。

 参院選は衆院選のような政権選択選挙とは異なるが、昨年10月に発足した岸田内閣の信任を問う「中間評価」となる。衆院解散がなければ、次の参院選まで国政選挙が3年間ない。ロシアによるウクライナ侵攻、気候変動、燃料や飲食料品などあらゆるモノの値上げと、国内外で憂慮する事態が相次いでいる。さらに自民党は選挙後、早期に憲法改正の国会発議を目指す方針を示し、改憲に必要な議席を確保するかも焦点となっている。日本の針路が問われる重要な意味合いを持つ選挙と言えよう。

 物価高騰対策は与野党の論戦の中心となっている。ガソリンの高値が長引き、車が欠かせない佐賀の暮らしへの影響は大きく、多くのモノも値上がりし、家計への打撃は日ごとに増している。消費税減税をすべきかどうかも与野党の対立軸だ。ウクライナ情勢で国民に不安が広がり、日本の安全保障のあり方も大きな争点となっている。岸田文雄首相は防衛費の「相当な増額」を主張する一方で、規模や財源は明確に説明していない。しわ寄せがどこへいくのか、注視しなければならない。

 佐賀県内に目を向ければ、佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画、九州新幹線長崎ルートで新鳥栖-武雄温泉の整備方式をどうするか、玄海原発のあり方や国営諫早湾干拓の開門問題と、長期化した国策課題がある。さらには人口減少、雇用の場の確保、利用低迷で維持が危ぶまれるローカル線、過疎地の医療確保など、わが身に迫る課題は事欠かない。どのような処方箋を示すのか、耳を傾けたい。

 今回は全国で545人が立候補し、女性は181人と過去最多で3分の1を占める。若い世代を中心にジェンダー平等への関心は高く、多様な社会実現への道筋をどのように示せるかも注目される。

 昨年の衆院選に続き、俳優らが自分の言葉で語りかけ、投票を促す動画「投票はあなたの声」が公示日に合わせて動画投稿サイトに公開された。政治に向き合い、飾らない言葉の継続的な発信は、関心を高める一助になるかもしれない。期日前投票が始まる。あなたの1票が声となり、政治に緊張感をもたらす。日本の未来を築く確かな一歩になると信じたい。(辻村圭介)