記憶に残る政治家の一人である。「平成おじさん」の愛称もあった小渕恵三・元首相。秘書を通さず、自ら電話をかけた「ブッチホン」は当時の流行語になった◆首相在任中に62歳で急逝。追悼演説した村山富市氏は、特筆すべき業績としてサミットの沖縄開催を挙げた。本土防衛のために23万人が犠牲となり、戦後も米国施政下に置かれた沖縄。小渕氏は学生時代から足を運び、沖縄への思いを刻みつけたという◆本土復帰を訴える革新系の運動が展開された1960年代、小渕氏は保守の側から活動を始め、沖縄に寄り添おうとした。きょう23日は「沖縄慰霊の日」。政治家だけでなく、一人一人が思いをはせる日である◆公示された参院選はウクライナ侵攻や北朝鮮の動向などを受け、安全保障政策が争点の一つとされる。平和維持のため、何に注力すべきか。目指すところは同じでも、その道筋には各党の主張に違いがある。もう一つの争点の物価高騰もウクライナ戦争とつながっている◆本土復帰50周年の今年、記念式典に臨まれた天皇陛下は「八重山ミンサー」というネクタイを締められていた。五と四を表した絣(かすり)模様で、「いつ(五つ)の世(四)」までも幸せを願う気持ちが込められている。沖縄戦から現在、将来の平和について考える慰霊の日であり、参院選の始まりである。(知)

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