田んぼの排水口にせき板を設置して水量を調整する「田んぼダム」=武雄市東川登町内田地区

 佐賀県は2021年8月の豪雨を受けて、翌9月に「内水対策プロジェクトチーム」を発足させた。雨水を田んぼにためて下流域への流出を抑える「田んぼダム」の運用を6月に開始したほか、県有の排水ポンプ車5台も新たに調達した。
 田んぼダムは激しい雨が降った時、水田の水を一気に排水路に流さず、調整板などを利用してゆっくりと流し、河川の急激な水位上昇を抑える方法。新潟県などで実績があるが、県内では未実施だった。

 県内6市3町の田んぼ計1195ヘクタールで10センチずつ水かさを増やすことで、計120万トンの水をためることができる。このうち六角川流域では武雄市の武雄東部と川登の両地区で9組織が計164ヘクタールで取り組む。
 これまで内水氾濫のたびに国の車両が対応していた排水ポンプ車も、県が自前で5台購入し、佐賀、東部、唐津、伊万里、杵藤の各土木事務所に配備した。1台で毎分30トンの排水能力があり、内水氾濫時の浸水被害軽減や決壊の恐れがあるため池の排水などでの活用が期待されている。

 20年度から取り組んでいる県営ダムでの事前放流に関しては、今年の6~10月にかけて、武雄市の矢筈ダム、本部ダム、狩立・日ノ峯ダムの3カ所で、前年度よりもさらに1メートル貯水位を下げ、計29万1千トンの洪水調節容量を確保する。県営の13ダムでの洪水調節容量は1492万トンに増える。

 迅速な状況把握のため、道路や街中、ため池、クリークなどに浸水センサーを設置し、県危機管理センターに送信、市町などと情報共有し、いち早い避難指示などにつなげる。全250カ所に設置予定だが、まずは六角川流域の多久市、武雄市、小城市、大町町に加え、内水氾濫が多い佐賀市、神埼市の5市1町の100カ所について6月中に運用を始める。残る150カ所は9月をめどに随時、設置・運用を進める。

 21年8月の豪雨で冠水して通行止めが発生した県内の県管理道路27カ所には新たに監視カメラを設置する。6月上旬までに10カ所、残る17カ所は7月末を目安に設置予定だ。すでに設置した10カ所のうち、小城市、多久市、武雄市、白石町が計7カ所を占める。

 川底などに堆積した土砂を取り除き流量を確保する浚渫(しゅんせつ)作業は、実施予定の117カ所のうち6月までに52カ所で完了した。残る65カ所は23年3月までの完了を予定している。このうち六角川・牛津川は21カ所中10カ所で終えている。

 21年8月の豪雨で浸水して機能が停止した下潟(大町町)、志久(武雄市)の両排水機場では、止水壁設置などの耐水化を予定しているが、雨期には間に合わなかった。下潟排水機場のポンプ増設も23年度までかかる見通し。(大橋諒)