市議会一般質問で市長選への3選出馬を表明する小松政市長=16日午前、武雄市議会

 任期満了に伴い12月に行われる武雄市長選に現職の小松政ただし氏(46)=2期、武雄町=が3選を目指して立候補することを明らかにした。2019、21年と2度の浸水被害に遭ったことを踏まえた治水対策の実施、9月に開業を迎える西九州新幹線(武雄温泉-長崎)を活用した町づくりなど、地域が大きく変わる時のリーダー選び。出馬表明は小松氏が初めてだが、前回が無投票だっただけに、今度こそ武雄の未来を議論する機会にしてほしい。

 小松市長は総務省官僚を経て10年に武雄市職員になり、秘書課長などを務めた。前市長が県知事選出馬のため辞職したことに伴う15年の市長選で初当選した。前市長が市民病院や市立図書館を民間委譲したり、人気ドラマの撮影誘致など話題豊富な施策を次々と打ち出したのに比べ、福祉の充実や文化振興を町づくりの中心に据えるソフト路線で市政を担ってきた。

 しかし1期目、2期目と浸水被害に見舞われ、2期目には新型コロナウイルス感染拡大も加わり、当初のイメージとは違う方向での市政運営となった。出馬を表明した16日の一般質問の答弁では「市民の生命と暮らしを守る。治水対策にしっかりと取り組み、新幹線開業を地域の活性化につなげる。武雄市が持つ伸びしろをさらに伸ばして、活気ある町を作りたい」と決意を述べた。

 わずか3年で2度も同じエリアでの浸水被害は全国的にも珍しい。どんな治水対策が実施されるのか注目が集まる。市長選は出水期の後に行われるが、六角川という特異な河川を持つ自治体の首長は高いレベルの知識と政策能力、国・県など関係機関とのパイプ作りも手腕として問われる。選挙を通じて議論されることを望みたい。

 新幹線を活用した町の活性化策は水害とコロナ禍の影響で、遅れていることは否定できない。長崎が近くなったことをアピール材料にし、移住・定住にどうつなげるのか。博多と武雄を結ぶ特急の本数増を、通勤・通学など市民のライフスタイルを変える利点としてどう生かすのか、争点の一つとして市民に示してほしい。

 さらに今も市政に暗い影を落とす「ふるさと納税返礼品発送遅延問題」。市議会が調査特別委員会で追及しても真相は解明されず、行政が業者を訴えるという極めて異例な訴訟にまで発展した。この問題にふたをしたままでは、武雄市の汚名は返上できない。ふるさと納税を財源確保の一手とするならば、運営方法の議論も必要だ。

 12月11日告示、18日投開票まで、あと半年ある。小松氏への対立候補が現れ、しっかりとした政策論争が展開されることを期待する。武雄市が県西部の中核都市を担えるか否か、重要な選挙になることを望んでいる。(澤登滋)