ネットニュースは速報性があって便利だが、情報収集の一つに新聞も使ってほしい。そう考える企業や団体から時折、若い世代を対象に新聞について話す機会をいただく◆人前に立つような知識も見識もないが、新聞のことならそれなりに知っている。でも、何を、どう伝えればいいのか。取材から紙面編集まで業務内容を話したところで、参考になるだろうかと頭を悩ませる◆「知っていることなら、教えられると思うのは、私たちが抱きやすい誤解の一つ」。以前、本紙で読んだエッセイスト山本夏彦さんの指摘を実感する。教えるという行為はちょっぴり気分もいいが、自己満足に陥りがち。一方的に知っていることを伝えても、相手は戸惑うだけかもしれない◆職場の新入社員や若手を前に、どう教えようかと苦心している先輩諸氏も多いのではないか。一人前に育てようと気持ちははやるが、教えるには一定の技術がいる。そうやって悩みながら教えていると、知らず知らずのうちに教えている方も学んでいる◆「新聞を読むきっかけに」と先日、自治体の新採職員研修に呼んでもらった。〈朝刊のようにあなたは現れてはじまりという言葉かがやく〉俵万智。残念ながら現れたのはさえないおじさんだったが、新聞との「はじまり」になっただろうか。教えるって、やっぱり難しい。(知)

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