陸揚げされた船体の状況

 知床観光船事故の経過(写真あり)

 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故は23日で発生から2カ月となる。陸揚げされた船底部の複数の隔壁に穴があるのが確認され、第1管区海上保安本部(小樽)は沈没との関連を慎重に調べているが、事故前後の状況には不明な点が多く、物証に頼らざるを得ない捜査は長期化の様相を呈している。乗客乗員12人の行方が分からず、態勢は縮小されたものの、不明者発見に向け捜索が続く。

 カズワンは4月29日、音信が途絶えた付近の海底で見つかり、専門業者が作業船に引き揚げ、今月1日に網走港で陸揚げされた。

 船底後部左側に四角い亀裂のような損傷が見えたほか、船尾中央付近には擦ったような跡があった。現在、港近くの民間企業の敷地で、ブルーシートで覆うなどして保管されている。

 捜査関係者によると、甲板下の船倉や機関室を仕切る計3枚の隔壁に、いずれも穴があることが確認された。エンジンには電気系統のトラブルなどによる焦げや火災の痕跡がなく、1管は機関室に流入した水によりエンジンが停止した可能性があるとみている。

 1管は業務上過失致死容疑で捜査。運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(58)や豊田徳幸船長=行方不明=が事故の発生を予見できたかどうかなど慎重に調べているが、物証頼みの捜査は長期化が予想される。

 事故では、これまで乗客14人の死亡が確認されたほか、乗客10人と乗員2人の行方が分かっていない。このうち佐賀県関係では、西松浦郡有田町の男性3人が巻き込まれ、2人の死亡を確認、1人が行方不明となっている。発生直後から1管は海上自衛隊や道警など関係機関と連携して捜索を続けてきたが、5月31日までの3日間大規模な捜索を実施したのを最後に態勢は縮小。現在は1管が原則単独で、不明者につながる手掛かりの発見に努めている。

 またロシアが実効支配する北方領土・国後島では、乗客と乗員とみられる男女2人の遺体が見つかり、海上保安庁は身元確認に必要なDNA型鑑定のデータをロシア側に送った。捜査関係者によると、乗客乗員と確認されれば、ロシア側から洋上で遺体を引き取ることも検討されている。

 一方、国土交通省北海道運輸局は出航基準違反など安全管理規程に違反する行為が複数確認されたことから、16日に知床遊覧船の事業許可を取り消す行政処分をした。【共同】