先月、日本も参加する国際的な天文学研究(EHT)で、私たちの銀河系の中心にあるブラックホールの影が直接撮影されるという大きな成果が報道されました。天文学で「銀河」と呼ばれる天体は数億~数千億個もの恒星の集まりで、多くの場合は渦巻の形をしていたり、巨大な楕円形状をしています。よく知られている銀河には「アンドロメダ座銀河」などがあり、私たちの住む銀河は単に「銀河系」とか「天の川銀河」と呼ばれています。現在では、これらのほぼ全ての銀河の中心には、大きなブラックホールがあると考えられています。
EHT計画によって史上初めてブラックホールの影が撮影されたのは、2019年おとめ座にあるM87楕円銀河でした。この銀河が対象に選ばれたのは、他の証拠から中心に最大級のブラックホールを持つことが分かっていたからです。この銀河は比較的明るくて、学習館の望遠鏡では月のない暗夜に観察することができます。
ところでこの銀河は、映画「シン・ウルトラマン」の主題歌のタイトル「M八七」になっていて、作者=米津玄師さんの意図を色々と想像させられてしまいます。オリジナルのウルトラマンの故郷は、(M87ではなく)M78星雲とされていますが、台本の誤植でM78が定着したという説もあるそうで、天文学でも音楽でも興味を惹かれます。
文:早水勉(佐賀市星空学習館副館長)
◆星空学習館のイベント◆
「定例観望会」
日時:毎週金曜・土曜 (1)20時~ (2)21時~(各回45分、定員20人)
※感染症対策のため、事前に参加予約が必要です。