政府は17日、新型コロナウイルス感染症対策本部を開き、感染症対策を一元的に担う「内閣感染症危機管理庁」の創設など、司令塔機能や医療提供体制の強化策を正式に決定した。米疾病対策センター(CDC)をモデルとした専門家組織「日本版CDC」も新設。病床や人材といった医療資源を迅速に確保するため、国や都道府県の権限を強化する。
岸田文雄首相は「平時の機能強化を図った上で、有事には内閣感染症危機管理庁の指揮下において、首相のリーダーシップの下、一元的に感染症対策を行う」と述べた。各閣僚には必要な法案準備など具体的な取り組みを進めるよう指示した。
司令塔機能の強化については、岸田首相が15日、政府の新型コロナ対応を検証する有識者会議の報告書を受け、国会閉幕後の記者会見で表明していた。
報告書では、2009年の新型インフルエンザ流行後に取られた平時の対応が不十分だったと指摘されていた。
危機管理庁は内閣官房に設け、首相の下で感染症対策の企画立案・総合調整をする。
日本版CDCは厚生労働省の下に国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合する形で設立。疫学調査から臨床研究まで専門家組織を一元化し、科学的知見の収集や発信を担う。
司令塔機能強化の一環として厚労省の関係部署を統合し「感染症対策部」も新設する。
病床確保では、感染症法を改正し、自治体と病院が事前に結ぶ協定を法的な仕組みとする。都道府県知事が感染拡大時に、協定を守るよう指示することを可能にする。現行制度で認められている「勧告」よりも法的な権限が強い。【共同】