十分に考えてつけたはずの名称が不評を買う。75歳以上を独立させた「後期高齢者医療制度」もその一つかもしれない。名称変更を求める声が上がったり、「長寿医療制度」と通称が設けられたりした◆元々は人口学などの学術的な専門用語で、65~74歳の「前期高齢者」との区別だそうだが、一般的に使われると不快に感じる人はいる。もちろん、75歳以上を切り捨てる意図などないのは理解しているが、何となく居心地を悪くする響きである◆それに比べれば「PLAN(プラン)75」はスマート。カンヌ国際映画祭で上映された早川千絵監督の作品で、近未来の日本が舞台。75歳以上の高齢者に死を選ぶ権利を認めて支援する制度が施行されたという設定で、生と死の選択に翻弄(ほんろう)される人たちを描いている◆日本での公開は17日から。予告編を見ると、申請窓口の職員が「無料でご利用いただけます」と死を推奨する。「お年寄りっていうのは寂しいんです。皆さんがうまく誘導してあげなくちゃいけない」という台詞(せりふ)もあった◆高齢社会をどう生きるか。世界共通のテーマであり、カンヌでも注目を集めた。2025年、日本は5人に1人が75歳以上になる予測。「PLAN75」は架空の話だが、生きづらくなりそうな心配はある。幸せなプランを自分で立てられる社会であればと願う。(知)

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