ペールエリック・ヘーグベリ駐日大使(左)と髙木裕己監督=東京都港区のスウェーデン大使館

 認知症や南海トラフ地震などをテーマに教育映画を発表し続けている唐津市出身の映画監督、髙木裕己さん(72)=東京都在住=が、児童虐待を考える作品「どう防ぐ? 児童虐待~体罰は必要なのか」で、今年の科学技術映像祭・特別奨励賞を受賞した。

 「どう防ぐ?-」は、2020年4月の「改正児童虐待防止法」施行を受けて、「体罰は必要なのか」と問いかける内容。日本では体罰をしつけととらえる風潮が依然として根強く、体罰がエスカレートして死亡させた例をドラマで再現しながら、どうすれば救えたかのポイントを指摘している。

 作品では、先進事例として、1979年に世界で初めて体罰を法律で禁止したスウェーデンを取り上げた。「長くつ下のピッピ」で知られる作家のアストリッド・リンドグレーンが子どもの権利を主張して国民の共感が広がった。体罰禁止により、子どもたちの心身の成長に良い影響が見られたほか、国民の意識調査でも体罰容認が60年の95%から2010年は10%まで低下した。

 受賞後の6月2日、髙木監督はスウェーデン大使館を訪ねて、ペールエリック・ヘーグベリ大使に受賞を報告した。大使は「スウェーデンでは、子どもたち自身に権利があることが学校現場で教えられており、声を上げやすい環境を整えている」と述べ、受賞を喜んだ。

 児童虐待をテーマに据えた作品は5作目で、高木監督は「法律によってすぐに状況が変わるわけではない。意識改革に向けて一つ一つ啓発を積み重ねていく必要がある」と話している。

 今年の科学技術映像祭には、50機関から78作品が出品された。最高賞の内閣総理大臣賞の「NHKスペシャル タモリ×山中伸弥 超人たちの人体~アスリート 限界への挑戦」をはじめ、文部科学大臣賞3作品、部門優秀賞6作品、特別奨励賞2作品が選ばれた。「どう防ぐ?-」は表彰式のオープニング上映にも選ばれた。(古賀史生)

 ▼教育映画「どう防ぐ? 児童虐待~体罰は必要なのか」は、DVD(カラー、21分)で販売。図書館などのライブラリー向けは税込み7万1500円。上映会の要望にも応じている。問い合わせは映学社、電話03(3359)9729。