「キッズ・マネー・スクール」が開いた親子のお金教室で、お店屋さんごっこをする子ども=5月、東京都中央区(共同)

 小学生など子どもへの金融教育が広がっている。高校での必修化や成人年齢の引き下げに伴い、より低年齢からお金を理解する力を育てようという機運が高まり、ゲームや身近な遊びに取り入れている。電子決済の普及で現金を扱う機会が減る中、子どもの金銭感覚をどう養うかとの大人の悩みも背景にあるようだ。
 5月下旬、横浜国立大学付属鎌倉小学校(神奈川県鎌倉市)の5年生の教室でカードゲームが始まった。4、5人のグループに分かれ、無作為に引いた「物」のカードと「行動」のカードを比べ、どちらの価値が高いか自分の考えを示す。
 「1時間病人の看病をする」と「色鉛筆」を比べたグループ。看病の方が高いという田島心裕さんと後藤阿子さんは「看病はお金の問題じゃない」。斉藤天真さんも「看病の相手は僕のおばあちゃんを想像した」と説明。一方、色鉛筆を選んだ田代天道さんは「僕は絵を描くのが好き。看病の方は病人が誰かによる。感染リスクがあるかもしれない」と推理した。
 「何に価値を感じ、お金を払うかは、人や時代で変わる。自分の目で見極めよう」と呼びかけた担任の荒谷舞教諭。「児童は電車通学が多く、買い物はIC乗車券で電子決済する子がほとんど。お釣りをもらう機会が減り、お金を使う実感も湧きにくい。お金を入り口に社会や働く人に目を向け、いろいろな価値を見つけてほしい」と話す。
 カードゲームは三菱UFJモルガン・スタンレー証券が開発した小学校向け金融教育プログラムの一部だ。お金の流れの前提として、物やサービスの価値を自分で考えてもらうのが狙い。4月から提供開始し、既に6都府県の国公私立の小学校で実施が決定。希望があれば社員も教壇で語る。
 同社によると、18、19歳の4~5月の新規口座開設数は前年同期の7倍強に。「成人年齢の引き下げで、将来の資産形成への意識が高まるタイミングも早まっている」と分析。同プログラムを通じて投資やリスクへの適切な理解を促し、次世代の投資家の裾野も広げたい考えだ。
 4~10歳向けに全国で親子のお金教室を開く「キッズ・マネー・スクール」(大分市)には昨年から、学校や自治体から学ぶ内容についての相談が急増。2014年から教室を開催している三浦康司代表理事は「大人は『お金は怖い』との意識で子どもから遠ざけがちだが、幼い子でも柔軟にお金の仕組みを理解し、吸収できる」と語る。
 5月に東京都内で開かれた教室には、5~8歳の計5人とその親が参加し、お店屋さんごっこでお金と商品のやりとりを体験。子どもたちは、外国紙幣と同額の1円玉いっぱいの袋を手に「重い!」と歓声をあげた。
 子どもの金融教育に詳しい東京家政学院大の上村協子教授(生活経済学)は「昔は、女子は家計管理、男子は金融経済を学ぶ場と考えられたが、今は性別に関係なく自分の生活費管理を学ぶ場に進化した。お金の話を大人が恐れず日常に取り入れてほしい」と助言した。(共同)