「夢を追うということ」のタイトルで講演する今村翔吾さん=佐賀市の佐賀新聞社

 第23回九州さが大衆文学賞の大賞受賞者で直木賞作家の今村翔吾さん(37)が11日、佐賀市の佐賀新聞社で講演した。今村さんは唐津市出身の作家北方謙三さんとの関わりを織り交ぜながら、直木賞受賞の夢をかなえるまでを語った。

 今村さんは2016年、九州さが大衆文学賞(佐賀銀行、ミサワホーム佐賀、柿右衛門文化財団・日本、佐賀新聞社でつくる同文学賞委員会主催)で大賞の笹沢左保賞を受けた。審査員の一人だった北方さんとの授賞式での対談をきっかけに、デビュー作「火喰鳥(ひくいどり) 羽州ぼろ鳶組」(祥伝社)を書き上げたという。今年1月に時代小説「塞王(さいおう)の楯(たて)」(集英社)で第166回直木賞に輝いている。

 講演会は笹沢左保記念館など九州さが大衆文学賞の関係者らが開いた。今村さんは「人生経験を積んでから小説家になろう」と家業のダンス教室で講師をしていた。生徒から「翔吾君も夢を諦めてるくせに」と言われたことで「30歳からでも夢はかなうと、残りの人生で証明したい」と仕事を辞め、小説を書き始めた。北方さんからの激励がデビューにつながったことから「佐賀は作家としてスタートするきっかけをくれた土地」と思い入れを語った。

 今村さんは先月30日、全国の書店や学校などをワゴン車で回る「今村翔吾のまつり旅」に出発した。118泊119日で全国約300カ所を巡り、講演やサイン会を開く。(花木芙美)

 ※講演会の内容は後日オピニオン面で詳報します。