参院選での勝利に向け、総決起集会で結束を呼び掛ける連合佐賀や立民、国民県連の関係者たち=佐賀市のガーデンテラス佐賀ホテル&マリトピア

 佐賀県内最大の労働団体・連合佐賀が4日に開いた参院選に向けた総決起集会。「連合佐賀は組織一丸となって戦い抜く」。各産別の組織内候補の等身大パネルが並ぶ壇上で連合佐賀の井手雅彦会長が、立憲民主党が佐賀選挙区に擁立する小野司氏(45)=唐津市=とともに拳を突き上げ、団結を誓った。傍らには原口一博、大串博志両衆院議員のほか、同じく連合を支持母体とする国民民主党県連の幹部の姿もあった。

 「連合は『非自民、反共産』が理念。共産との候補一本化がなくなってほっとした。これで気兼ねなく連携できる」。参加者の1人はこう漏らした。決起集会に先立つ5月30日に共産党県委員会が会見を開き、一本化を断念し独自候補擁立を表明したばかりだった。

 参院選佐賀選挙区では市民連合さがが仲介する形で、2016、19年と2回連続で共産党が公認候補の擁立を取り下げ、野党候補の一本化を実現してきた経緯がある。ただ、いずれも当時の民進党、国民民主党の候補が自民の現職候補に大敗。候補擁立が毎回直前になり、浸透が遅れることに加え、共産党と肩を並べることへの「アレルギー」を指摘する声も根強い。

 立民県連の関係者は「『衆院選は応援するけど、共産党と一緒にやるなら、参院選は応援できない』という人も多い。一本化で得られた票と離れた票、どちらが多いことやら」とこぼし、共闘が実現した過去の国政選挙でも連合と共産の関係者が鉢合わせしないように気を配ってきたという。

 連合は21年の衆院選に関し、野党共闘で共産が前面に出た結果、「一丸となって闘う困難さがあった」と総括。野党共闘の機運はしぼみ、19年参院選で32の1人区全てで実現した一本化は、今夏の参院選では12選挙区にとどまる見通しだ。

 原口県連代表は「今回はまさに地元(の候補)。加えて、私たちは意識的にジェンダーの比率を変えようとしており、その先頭に立ってくれる」と県内出身の女性擁立の意義を強調する。別の県連関係者は「小野氏は子育てや介護の経験など現場目線で話ができる。県政界のサラブレッドである自民現職との差別化はやりやすい」と分析。他党を意識せずに戦える状況に、これまでとは違う手応えを感じている。

 一方、参院選では9年ぶりに公認候補となる上村泰稔氏(57)=佐賀市=の擁立を決断した共産党。衆院選を含めると17年に2区で擁立して以降、2回の国政選挙を選挙区で戦っておらず、共産への比例票は16年参院選の約2万1千票から、21年衆院選約1万4千と減り続けている。地方議員選挙でも佐賀市や三養基郡みやき町で議席を失うなど、衰退が顕著だ。県委員会の今田真人委員長は「私たち自身が鍛えられ、力を付けていくという決意を固めた」と狙いを語る。

 共闘の仲介役を担ってきた市民連合さがの畑山敏夫代表は「立民側が何をネックに思っているかがはっきりせず、私たちが何を調整したらクリアできるかが分からなかった」と昨年の衆院選とは温度差を感じている。「今回の参院選が終われば3年間は国政選挙がない可能性もある。改憲の歯車が動き出さなければいいが」。今回の選挙の意味合いの重さを示唆する。

 佐賀選挙区にはこのほかに、NHK党から新人で元派遣社員の眞喜志雄一氏(31)=沖縄県北谷町、政治団体「参政党」から障害福祉事業所代表で唐津市出身の稲葉継男氏(46)=東京都=が出馬を表明。4月に県連を立ち上げた国民民主党は擁立せず、比例に注力する構えだ。

 5人が出馬すれば、1968年の6人に次ぐ多さとなる。3選を目指す自民の現職に、知名度や組織力で差がある野党候補らがどう立ち向かうか。決戦の夏が迫っている。(大橋諒)