ファンと記念写真に収まる今村翔吾さん=佐賀市の紀伊國屋書店佐賀店

放課後児童クラブで子どもたちと物語をつくる今村翔吾さん=佐賀市のおへそ学道場

佐賀ミステリファンクラブを訪れ創作手法などを語る今村翔吾さん=佐賀市の神野公民館

 直木賞作家の今村翔吾さん(37)が10、11の両日、佐賀市内の書店や公民館など7カ所を訪れた。作家デビューの原点だという佐賀の地への“凱旋”でファンらに夢と笑顔を振りまき、人を勇気づける新たな作家像を見せた。

 今村さんは地方の書店を励まし子どもたちに夢を語ろうと、全国を巡る旅に出た。移動中に車中で小説を書きながら、9月24日に山形県新庄市でゴールするまで自宅に帰らず旅をする。

 佐賀新聞社で講演を聞いた佐賀市の打越隆敏さん(45)は「さすが人気作家。さらさらと飛び出す言葉に引き込まれた」とサインを求めていた。

 10日の嘉瀬公民館では、回覧板で開催を知ったという30代の男性が聴講し「夢をかなえる決断の話は子どもたちにも伝えたい」と話した。放課後児童クラブ「おへそ学道場」では昔話の「桃太郎」を題材に、川から流れてくる物や仲間になる動物を自分たちで考えて物語を構築し盛り上がった。赤松小6年の尊田大己君(12)は「自分が作家になったみたいで楽しかった」と笑顔を見せた。

 11日はTSUTAYA積文館書店佐大通り店でサイン本、佐賀市立図書館でサイン色紙を作成した。同市の永渕勇一郎さん(46)は紀伊國屋書店佐賀店で、江戸の火消しを扱った人気シリーズにちなんで拍子木にサインをもらい「大好きなシリーズの誕生秘話が聞けて感動した」と頰を紅潮させた。「佐賀ミステリファンクラブ」のメンバーらが集まった神野公民館では特製のくす玉で熱い歓迎を受け、佐賀市の書店員本間悠さん(43)は「地方の書店や小さい会場まできめ細かく回ってくれてありがたい。なかなかできることではない」と拍手を送った。

 今村さんは「読者の顔を見て、読まれている実感が湧いた。この旅で終わりではなく、縁ある佐賀とまた一緒に何かやっていきたい」と話した。15日には再び来佐し、伊万里市民図書館、焱の博記念堂、武雄高校を巡る。(花木芙美)