吉野浩司鎮西学院大教授(中央)の講演に耳を傾ける参加者=佐賀市の佐賀城本丸歴史館

高田保馬の業績について講演する吉野浩司鎮西学院大教授=佐賀市の佐賀城本丸歴史館

 小城市三日月町出身で社会学者・経済学者の高田保馬の自伝が出版され、記念の講演会が11日、佐賀市の佐賀城本丸歴史館で開かれた。編者の吉野浩司鎮西学院大教授が、世界に知られる高田の理論の背景にある故郷の佐賀への思いなどを解説した。

 吉野教授は、助け合って生きる「群居の欲望」と競ってのし上がる「力の欲望」が人の心の中にあるという高田の考え方を示し、このバランスに悩みながら生み出した社会学の理論の独自性をひもといた。理論は田舎と大都市などの構図にも当てはまるとした上で「佐賀の農村で育ち、立身出世しても故郷をどう救えるか考え続けたことが偉大だった」と強調した。

 また、高田がドイツの社会学者に手紙で理論を伝えたのがきっかけで世界的に評価されるようになった経緯を説明し、「外国の学問を翻訳して紹介するのが精いっぱいの時代に、自分の思考を世界に知らせたことは周囲を凌駕(りょうが)していた」と評価した。

 講演会は佐賀城本丸歴史館の「歴史館ゼミナール」の一環で、91人が参加した。

 佐賀新聞社から出版された高田の自伝「私の追憶」をテキストにした読書会が7月2日から月1回、佐賀市の佐賀新聞社で開かれる。問い合わせは佐賀新聞プランニング、電話0952(28)2152。(北島郁男)