訪日客受け入れに向け、非接触型の決済サービスを取り入れた鹿島市の祐徳稲荷神社。外国人観光客向けのお守りも揃えた=鹿島市古枝

 訪日外国人観光客の受け入れが10日、再開される。新型コロナウイルス禍で苦しんできた佐賀県内の観光地は歓迎する一方、訪日客にマスク着用などを求める「受け入れ指針」が守られるのか、懸念の声も上がっている。県観光課によると、当面はツアー客が県内を訪れる予定は入っていないが、非接触型の決済端末導入など各地で受け入れの準備が進められている。

 「心待ちにしていた。笑顔で迎えたい」。祐徳稲荷神社(鹿島市)の鍋島朝寿宮司は訪日客の受け入れ再開を歓迎した。

 年間3万人の訪日客が訪れ、アフターコロナを見据えた取り組みを続けてきた。非接触型の観光スタイルを進めるため、今年3月にはキャッシュレス決済の端末4台を導入。訪日客に好まれるデザインのお守りなどを新たに準備した。

 ▽対応に不安も

 7日に国土交通省が公表した訪日客の受け入れ指針では、基本的な感染防止対策や症状が出た人への対応などが盛り込まれた。県は関係する観光地や医療機関に周知するが、指針に違反した場合の明確な罰則は示されておらず、訪日客がマスクを付けない場合などへの対応に不安が残る。

 鍋島宮司は感染対策について「もしマスクを外していても、付けてくれとは言いづらい」と心配する。「神社の作法を体験するように、新たな観光スタイルを守ることまで楽しんでもらえれば」と期待を込める。

 コロナ前は売り上げの2割を訪日客が占めていた佐賀牛レストラン季楽本店(佐賀市)。運営するJAさがの担当者は「訪日客に売り上げを下支えしてもらっていた」と来客を待ち望む。店内では検温や手指の消毒など通常通りの感染対策を行った上で、テーブルには外国語での表示もして注意を促す。指針が守られない場合は「丁重に注意させていただく」考えだ。

 ▽高付加価値化

 有田ポーセリンパーク(西松浦郡有田町)には、コロナ前はクルーズ船の訪日客を乗せたバスが列をなして訪れていた。現在は秋以降について数件の問い合わせを受けている状況だが「中国の『ゼロコロナ政策』の終了や、日本への入国制限がなくならないと本格的な需要は見込めない」と話し、訪日客に向けた営業活動や準備はこれからになるという。訪日客が途絶えた時期の教訓を生かし、国内客の取り込みにも力を入れる。

 県観光課のインバウンド(訪日客)担当は「現在はツアーのみの受け入れだが、順調に入国規制が緩和されていけば個人旅行にシフトしていく」と予想する。インバウンド需要の回復のためには「キャッシュレス決済への対応や、富裕層を狙った『高付加価値化』などの課題に対応していく必要がある」と指摘した。(小島発樹、古賀真理子、山口源貴)