ふるさと納税の寄付者に対し、返礼品ではなく現金を還元―。こんな仲介サービスを東京都内のIT企業が8日から始めたところ、直後に停止を余儀なくされた。申し込みサイトで無関係の3自治体を寄付予定先として紹介し、苦情を受けたのが理由で、9日に謝罪文を掲載した。総務省は制度の趣旨に反するとして、サービス自体を問題視している。

 サービス運営会社はDEPARTURE(東京都新宿区)。「キャシュふる」というサイトを通じて寄付すると、寄付額の2割を現金で還元するとうたっていた。特徴は、寄付者は返礼品を受け取らず、同社が第三者に転売する点だ。売却代金から手数料を差し引き、残りを現金還元に充てる予定だった。

 返礼品は同社の別サイトで売買。送り先は寄付者ではない人の名前や住所を使えるため、自治体から購入者に直接届くようにした。

 同社によると、寄付予定先としてサイトに掲載したのは新潟県魚沼市と佐賀県三養基郡上峰町、宮崎市。いずれも提携関係などはない。3市町からは「ふるさと納税の現金化に協力していると思われる」などの苦情が寄せられたという。すでに寄付を申し込んだ人には、返金手続きを進める。

 ふるさと納税は、寄付が限度額を超えなければ、自己負担の2千円を差し引いた分だけ税軽減がある。今回のサービスは、所得が多くて寄付限度額が大きい人は、2千円の負担で多額の現金を受け取ることができた。

 総務省の担当者は「ありえないサービス。地域を応援するという制度の趣旨に反しており、現行法令上どういった対応ができるか検討する」としている。

 上峰町には9日朝に総務省から連絡があり、町まち・ひと・しごと創生室の担当者は「掲載を依頼した事実はなく、(同社と)契約や接触もない」などと説明したという。

 「キャッシュふる」を通じた寄付申し込みの有無については現時点では把握していないが、「誤解を招くような形で勝手に町の名前が使われてしまった」と不快感を示し、今後について「情報収集を行って適切に対応したい」と話した。(共同)