歌手さだまさしさんの曲は「時間」をテーマにした歌詞が多いと思う。その一つが「主人公」。〈♪「或(ある)いは」「もしも」だなんてあなたは嫌ったけど 時を遡(さかのぼ)る切符(チケット)があれば欲しくなる時がある あそこの別れ道で選びなおせるならって〉。思い出は時に人を感傷的にし、あの分岐点で違う道を選択していたら…と、せんないことを考えさせる◆きょう10日は「時の記念日」。時の流れや時間の意味を考える日でもあるだろう。6月は祝日がないから、祝日にすればいいのにと思ったりする◆時間は不思議だ。無限にあるようで、平等に与えられているわけでもない。「一生」の長さは人によって違う。だからこそ「時間を大切」にと言われる。でも、ぼーっとする時間も必要。休日に好きなことを楽しむ「至福の時間」も持ちたいと思う。がむしゃらに頑張ることだけが時間を大切にするという意味でもないだろう◆「主人公」の歌詞は別れ道を振り返りながらも〈♪今の私を悲しむつもりはない 確かに自分で選んだ以上精一杯生きる〉と続き、〈あなたは教えてくれた 小さな物語でも自分の人生の中では誰もがみな主人公〉と締めくくる◆今この瞬間が思い出となり、人生を形作っていく。「生きている今」への感謝を忘れない。時間を大切にするとは結局、そういうことかもしれない。(義)

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