県有明海漁協本所を立ち入り検査し、押収物を運び出す公正取引委員会の職員ら=7日午後5時27分、佐賀市の県水産会館(撮影・米倉義房)

 九州の有明海で生産される養殖ノリの取り扱いを巡り、生産者に不当に全量出荷などを求めているとして、公正取引委員会は7日、独禁法違反(不公正な取引方法)の疑いで、福岡、佐賀、熊本3県の漁協や漁連に立ち入り検査した。関係者への取材で分かった。

 関係者によると、立ち入り検査したのは福岡有明海漁連(福岡県柳川市)や佐賀県有明海漁協(佐賀市)、熊本県漁連(熊本市)など関係先約10カ所。生産者に対して水揚げされた養殖ノリの全てを漁協や漁連など関係団体に出荷するように求めていた疑いが持たれている。

 公取委は、生産者独自のルートでの販売を認めず、自由な競争を阻害したとして、独禁法違反の「拘束条件付き取引」や「排他条件付き取引」に該当する可能性があるとみている。

 佐賀県有明海漁協は、全量出荷を強制した事実はないとした上で「不適切な部分があれば正しい方向に進めないといけない。検査には全面的に協力する」とコメントした。

 福岡有明海漁連や熊本県漁連はいずれも取材に対し、立ち入り検査を受けたことを認めた上で「調査に適切に対応していく」などとコメントした。

 水産物の流通を巡っては、近年、生産者がインターネットを介して小売業者と直接取引するケースも増えており、政府の規制改革推進会議は漁協などによる不当な全量出荷や価格拘束が自由な取引の妨げとなる恐れがあるとして対策を議論。昨年11月には水産庁や公取委が適正取引の指針を策定していた。

 ノリの出荷では、事前に全量出荷を前提とした誓約書を生産者に提出させる行為なども確認されていたという。

 農林水産省の統計によると、2020年のノリの県別生産量は、佐賀県が約7万5千トンで全国トップ。福岡県は約4万8千トン、熊本県は約3万6千トンで、それぞれ全国3位、4位だった。【共同】