特殊詐欺の被害額の推移

 高齢者を中心に深刻な被害が続く特殊詐欺(ニセ電話詐欺)について、年間の数字が確認できる2003年から21年までの被害総額が5743億円に上ることが7日、警察庁のまとめで分かった。佐賀県の22年度一般会計当初予算(約5710億円)や一部の地方銀行の預金量を上回る額で、「おれおれ詐欺」など電話で被害者から現金をだまし取る悪質な犯罪によって、国民の財産が組織犯罪グループの巨大な資金源になっている実態が改めて浮き彫りになった。

 日本は家計の金融資産2千兆円の約7割を世帯主が60歳以上の世帯が保有、資産の内訳は現金・預金が半分を占める。高齢化が急速に進展し被害が生じやすい構造になっている。

 被害を届け出ないケースなども含めると実際の被害は倍との指摘もあり、社会全体で危機意識を共有し、当局には一層の対応強化が求められる。昨年の被害者の約9割が高齢者だった。

 警察庁によると、5743億円のうち類型別では、息子や孫を装い金銭を詐取するおれおれ詐欺が2522億円と最も多く半分近くを占めた。

 他に多いのは、架空の未払い料金を口実にする「架空請求詐欺」が1419億円、虚偽の未公開株などを名目にする「金融商品詐欺」が677億円。この3類型だけで全体の8割となる。

 個人の最大被害は、大阪府の会社経営の80代女性が16年、名義貸しを巡るトラブル解決名目などで二十数回にわたってだまし取られた5億6900万円だった。

 警察庁は03年、おれおれ詐欺が社会問題化したことから初めて被害を調べ、総額43億円に上ることが判明。04年には6倍以上の283億円と爆発的に増え、08年までは250億円程度の横ばい状態で推移。摘発強化や犯罪ツール対策などで09年には3分の1に減少するが、10年から再び増加し14年には過去最高の565億円に達した。

 その後は減少傾向だが高止まり状態。21年は282億円で、1日平均7700万円に上る。

 佐賀県内では04年~21年までの特殊詐欺(16年からニセ電話詐欺に改称)について、県警が把握した被害の総額は19億円に上った。生活安全企画課によると、被害額が過去最悪だったのは16年で2億2579万円。昨年も1億円を超える被害が発生している。

 近年は、警察官をかたり「キャッシュカードが悪用されている」とカードをだまし取る手口や、「払戻金がある」と電話してATMを操作させ、送金させる還付金詐欺が多発。インターネット利用の代金名目で電子ギフト券を購入させ、利用番号を聞き出す詐欺なども目立っている。【共同】