「雨の日の友達」という言葉がある。好調な時は多くの人が周りに集まってきてくれる。だが、何かにつまずいてうまくいかなくなると、潮が引くように離れていく人もいる。「雨の日の友達」とは晴天から一転、突然の雨に降られた時、そっと傘を差し出してくれる友のことをいう◆きのうの本紙の地方面で、橋の欄干から飛び降りようとしていた男性に声をかけ、人命救助に貢献した女性に感謝状が贈られた、という記事が目に留まった。男性は20代。事情は想像するしかないが、「孤独」を感じていたのかもしれない。女性の言葉の中身より、心配してくれた行為そのものがうれしかったのだと思う◆ポジティブ思考は大切だが、落ち込んでいる人や悩みを抱えている人に、ポジティブを押しつけてはいけないという。悩みへの理想的な答えは「一緒に解決策を考えよう」という言葉。つまりは「寄り添う」こと◆誰の心にも涙はつきもの。でも、一緒に泣いてくれる人がいれば、不思議と悲しみが和らぐ。つらい時、「誰かのために」と思ったら頑張れるし、「誰かに思われている」と感じた時も希望が生まれる。女性の声かけはきっと、「雨の日の傘」になったのだろう◆人生山あり谷あり。晴れの日ばかりではない。できれば、雨の日にさりげなく傘を差し出せる人になりたいと思う。(義)

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