子どもたちが時代の先端を歩いていると感じる時がある。登下校時に目にするランドセル、その色が年々多彩になってきた。ジェンダー〈社会的・文化的に形成される性別〉にとらわれず、それぞれの好きな色が背中にある◆ランドセルの色は、文科省も教育委員会も指定していたわけではない。それなのに「男子は黒」「女子は赤」が当たり前で、何の疑問も抱かなかった。本紙「電子版プラス」に載っていたランドセル特集を読みながら、改めて変化に気づく◆ランドセル工業会が今春の新1年生の保護者1500人に実施したアンケート。男子は黒が58%を占めたが前年よりも減り、紺が18%に増えた。女子は紫・薄紫が24%で最も多く、桃色21%、赤17%、水色16%と多様化している◆「友だちと一緒」から「他人とかぶらない」「自分のお気に入り」を選ぶ傾向が強まっており、ジェンダーに縛られていない。保護者も子どもの個性を尊重して受け入れている。世代間にも開きがあるようで、ランドセルの色に目が留まるのは意識の底に古くさい感覚がこびり付いているためかと省みる◆ランドセルは1887(明治20)年、伊藤博文が後の大正天皇の入学祝いに献上した革製、箱型の特注品が原型になって広まったという。大人社会のジェンダーも明治の原型をとどめてはいないか。(知)

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