国土交通省は3日、沿線地域の同意を前提に、認可された上限を超えて鉄道運賃を値上げできる仕組みを導入する案を有識者委員会で示した。事業者の収支が改善できれば、乗客が減った路線の維持にもつながる。ただ住民らの反発から地元だけでは調整が難航するケースが想定され、国が鉄道事業者と地元自治体などの協議を仲介する仕組みも検討する。

 鉄道運賃は、必要コストに適正な利潤を上乗せして算出する「総括原価方式」で国が審査。認可した上限額の範囲なら金額を自由に設定できる。ただ審査は「能率的な経営」が前提で、標準を上回るコストは認められず、値上げが難しいという指摘があった。

 一方、人口減少や新型コロナウイルス禍で乗客が減り、地方を中心に路線の維持が課題となっている。このため国交省は、路線維持や運行本数を増やすなど利便性向上につながることを地元自治体、住民らに説明し、合意を得れば、国への届け出のみで認可上限を超える運賃を設定できる案を検討してきた。

 ただ運賃が値上げされると住民の負担増につながる。国交省によると、3日の会合では一部委員が「沿線地域の合意を取り付けるのが難しいのではないか」と指摘。国交省は、事業者と地域間の協議を仲介し、調整を円滑にする仕組みを検討するとしている。

 有識者委は3日の議論も踏まえ、6月中に中間取りまとめを行う。【共同】