佐賀県警が盗みの疑いで逮捕し、その後不起訴になった県内の30代男性が、強引な取り調べを受けて精神的な苦痛を被ったとして、県に対して330万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が3日、佐賀地裁(三井教匡裁判長)で開かれた。県側は「刑事手続きは全て正当だった」として争う姿勢を示した。

 訴状によると2021年1月、逮捕した男性を調べた取調官が「俺は署のエース。権限がある」などと述べ、供述すれば軽微な処分にするなどと示唆。男性は容疑を否認して黙秘したが、取調官は虚偽の自白調書を作成、署名押印を迫ったなどとしている。

 弁論では、原告の男性が意見陳述し「言ってもいないことが調書に書いてあり驚いた。刑事の作文以外の何ものでもない」と訴えた。取り調べ時に弁護士の接見内容を聞かれたとして、代理人は「秘密交通権を侵害した」と主張した。

 県側は「取り調べが違法だったというのは事実と異なり、原告が独自に解釈している。不当なやりとりはなく、一連の手続きが適法だったと明らかにする」などと反論した。

 訴状などによると、男性は2020年12月、県内の工事現場で、ソーラー式信号機1台などを盗んだとして、昨年1~2月に2度逮捕され、同年3月にいずれも不起訴になった。

 弁論後、男性とともに弁護団が会見し「行き過ぎた取り調べと見込み捜査の弊害」などと強調した。県警監察課は「訴訟に関することで、コメントを差し控える」としている。