2022年産主食用米の作付面積意向

 小麦売り渡し価格の推移

 農林水産省は2日、2022年産の主食用米の作付面積について、佐賀など37道府県が前年実績から減らす意向だとする4月末時点の調査結果を発表した。新型コロナウイルス禍で外食を中心にコメ消費が減少。世界的な穀物価格の高騰で主食用米以外の生産が有利になったことなどから、飼料用米や麦、大豆などへの転換が進む。ロシアのウクライナ侵攻に伴い穀物価格は上昇の一途をたどっており、転作が今後も加速する可能性がある。

 

 前回調査(1月末時点)の22道府県から大幅に拡大した。農水省の担当者は「麦や大豆は国際価格高騰に加え、もともと国産のニーズも高く、切り替える農家が増えている」と分析した。主食用米の増加を計画する都道府県はなかった。前年並みは10都県だった。

 作付面積を減らす意向を示した37道府県のうち、前年実績から「5%超」減らすと回答したのは北海道、宮城、栃木の3道県。「3~5%程度」は岩手、山形、千葉、鳥取の4県、「1~3%程度」としたのは佐賀、秋田、福島など30府県だった。前年並みとした10都県は、青森や静岡など。

 九州農政局によると、佐賀県は主食用米の作付けを減らす意向を示しており、「1~3%程度」としている。関係者によると、米価下落の影響、国の方針などで飼料用米やWCS(稲発酵粗飼料)への転換が目立つという。麦は佐賀の場合は二毛作のため、東北のように転換作物とはなっていない。

 主食用米以外の作物については、飼料用米を増やすと回答したのが42道府県に上り、最も多かった。

 農水省は今回の調査結果を基に、全国の主食用米の作付面積が約3・5万ヘクタール減ると試算。22年産の需要に見合った675万トンに生産量を収めるには、さらに約0・4万ヘクタールの作付け転換が必要だとして、引き続き転作を呼びかける。

 政府は、主食用米からの転作を促すため「水田活用の直接支払交付金」を活用。農水省の試算によると、交付金を含めた農家の所得は、主食用米が10ヘクタール当たり1万3千円なのに対し、飼料用米が2万6千円、小麦が4万8千円、大豆が4万9千円と、転換しやすい環境を整えている。

 

穀物価格高騰、米価は下落 食料安保強化も後押し

 

 2022年産の主食用米の作付け見通しでは、37道府県が前年実績から作付面積を減らす考えを示した。ロシアのウクライナ侵攻の影響などで世界的に小麦や大豆などの穀物価格が高騰する一方、消費が低迷する国内の米価は下落傾向が続く。政府は食料安全保障の強化に向けて輸入に依存する小麦や飼料の国内生産を促しており、コメ以外への転作機運が今後高まる可能性がある。

 コメの国民1人当たりの年間消費量は1962年度をピークに下降を始め、低迷が続く。食生活の変化や人口減少を背景に、主食用米の需要量は年10万トン前後の減少が今後も見込まれている。

 足元では輸入小麦を国が製粉メーカーに売り渡す際の平均価格が過去2番目の高水準となった。うどんやパスタなど小麦製品の値上がりが相次いでおり、新型コロナウイルス流行前から続く「コメ離れ」からの脱却に期待する声もある。

 ただ、今後の需要の見通しは不透明で、国は補助金を出して主食以外の用途や別の作物への転換を促している。

 今回の調査では、飼料用米の作付けを増やすとの回答が最も多く、42道府県に上った。飼料用米は農家にとって転換が容易な上、トウモロコシ国際価格が高騰したことも影響したとみられる。

 27道府県が転換先に挙げた麦のうち、小麦の消費量に占める国内生産量の割合は11~16%程度にとどまる。食料安定供給への懸念の高まりとともに、補助金を含めれば主食用米より所得が増える麦への転作に傾いた農家もいたと予想される。

 農水省の担当者は「今後もニーズが高い麦や大豆などへの転換を進めてほしい」と語った。【共同】