ノリの色落ち被害軽減のため、佐賀県が放流予定の二枚貝「サルボウ」。写真はふ化後約3年たった成貝(約3センチ)だが、今回はふ化後半年以下の稚貝(約1センチ)を放流する=佐賀県提供

 佐賀県西南部の有明海で昨季、養殖ノリの不作が深刻化した問題で、県は2日、赤潮の発生要因となるプランクトンを補食する二枚貝「サルボウ」の稚貝100万個を放流し、環境改善につなげる事業に取り組むと発表した。関連予算を6月定例県議会に提案し、可決されれば種付け開始前までに実施する。

 県水産課によると、サルボウは、海域の塩分低下が原因で、ピークの1990年度に1万5千トンだった漁獲量が2021年度は28トンまで減少。そこで1千万円をかけ、民間事業者からサルボウの人工稚貝を購入、ノリの色落ち被害が深刻な有明海西南部地区に放流する。同様の取り組みは初めて。具体的な放流時期や場所などは、県有明海漁業協同組合と協議して決める。

 このほか、ノリの漁場に栄養分を供給する役割を果たす塩田川については、近年河口に泥が堆積するなど流況が悪化しているとして、改善に向けたシミュレーションを実施する。大学などの専門家に委託し、作澪(さくれい)(水路掘削)も含め効果的な改善策を検討する。事業費は200万円。

 水産課によると、21年度の佐賀県沖の有明海のノリ生産枚数は過去10年の平均と比べ、94%と横ばいだった。一方、西部地区52%、南部地区は6%と大幅に低下し、品質も落ちたという。5月には県有明海漁協と西南部地区の青年部員らが環境改善への支援を求める要望書を山口祥義知事宛てに出している。

 山口知事は「プランクトンを減らすためのサルボウがいなくなったことが大きいので、できる限り多くまいてみたい」と環境改善へ力を込めた。(大橋諒)