男女共同参画行動計画を改定する鳥栖市は、改定を前に市民意識調査を実施した。「男性は仕事、女性は家庭」という性別で役割を分ける固定観念が薄れ、意識や知識が着実に高まっていた一方で、男女が平等と感じている人の割合が減り、悪化した部分も見られた。悪化の理由は、新型コロナ禍で非正規雇用の割合が高い女性が多く職を失ったことが一因とみられる。不平等感を生むこうした社会の実態は鳥栖市だけの問題ではない。要因を精査し、社会全体で改善を図っていくことが重要だ。

 調査は昨年9月、20歳以上の男女2千人に郵送し、767人(38・4%)が郵送かインターネットで回答した。調査は5年前、10年前にも実施した。「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方には79・9%が「そう思わない」など否定的だった。前回調査の同じ回答の割合は66・6%だったので、性別で役割を固定する考えに否定的な人の割合が増え、意識の高まりが見られた。

 女性の職業については、10年前までは「子どもができたらやめ、手がかからなくなって再び持つ方がいい」という回答が最多だった。5年前からは「女性はずっと職業を持っている方がよい」がトップに代わり、今回は割合がさらに上がって半数以上の53・8%になった。職場の産前・産後休業と育児休業が整備され、それを利用できる社会環境が整ってきたことを示す結果と言えるだろう。

 一方、気になるのは男女の地位の平等感だ。男女が「平等」と答えたのは15・1%で、5年前から7・1ポイント減少した。逆に、「男性の方が優遇されている」という回答は5年前から9・8ポイント増えて77・5%を占め、男女間における不平等感が増した。市の担当者は「新型コロナ禍で、非正規労働の割合が多い女性が失業する割合が多く、そのことも影響しているのではないか」と分析する。

 総務省の調査によると、新型コロナで最初の緊急事態宣言が出された2020年4月、国内では就業者数が大きく減少したが、減少幅は男性の37万人に対し、女性は70万人と約2倍の人が職を失った。20年の非正規雇用の割合は、男性22・2%に対し、女性は54・4%と半数を超えており、新型コロナで打撃を受けた飲食や宿泊業界で働く女性が多かったことも影響したとみられる。新型コロナという非常事態を受け、多くの女性が職を失わざるを得なかったという実態が、男女の不平等感を増す要因になったと考えられる。

 今回の調査結果について、鳥栖市の担当者は「意識は高まったが、家事は依然として妻や母親が中心という結果が出るなど、実態が意識に追いついていない部分がある」と指摘。不平等感に関しては「意識が高まったからこそ、男女間の不平等に目が行くようになった側面もあるかもしれない」と分析する。市は調査結果を踏まえ、市民らの意見も反映させながら新たな行動計画をまとめる。

 女性の非正規雇用の割合の高さは日本社会が構造的に抱える課題で、一朝一夕に解決を図るのは難しい。しかし、構造的な課題と向き合い、解決の糸口を見つけていかなければ真の男女共同参画社会の実現には至らない。負の部分にこそ目を向け、今後の取り組みに生かしていきたい。(樋渡光憲)