初めて収蔵された中島宏さんの代表作と、妻の寿美子さん(左)と島谷弘幸館長=福岡県太宰府市の九州国立博物館

中島宏さんの代表作を囲む妻の寿美子さん(右)と島谷弘幸館長=福岡県太宰府市の九州国立博物館

 「中島ブルー」と呼ばれる独自の青磁の世界を切り開いた人間国宝(重要無形文化財保持者)の陶芸家故・中島宏さん(1941~2018年、武雄市出身)の遺作が、九州国立博物館(福岡県太宰府市)に寄贈された。現代作家による作品が収蔵されるのは異例で、佐賀県の現代陶芸家としては初めて。2日、妻の寿美子さん(73)が展示会場を訪れた。

 寄贈作品は、2006年制作の「青瓷彫文壺(せいじほりもんつぼ)」。青銅器の力強さを取り入れた造形と、宇宙を連想させる深みのあるブルーに仕上げている。09年に同館で開かれた特別展「工芸のいま 伝統と創造」に出品した代表作で、宋時代の青磁の技法を踏まえて生み出した「中島ブルー」の評価が定まった時期に当たる。

 生前、中島さんは代表作として手放さず、寿美子さんは「中国によく出向いていた時期に手がけた作品で、『いずれはこの作品を九博に収めてほしい』と話していた。念願がかない、きっと喜んでいると思う」と述べた。島谷弘幸館長は「中島先生の代表作を収められて非常に喜んでいる。九州の代表作家として、ここから世界に発信していきたい」と謝辞を述べた。

 中島さんは28歳で武雄市内に「弓野窯」として独立。日本伝統工芸展を中心に活躍し、82年に日本陶磁協会賞。2007年、人間国宝に認定。県陶芸協会会長や日本工芸会副理事長も務めた。

 寄贈作品は開催中の新収蔵品展で、7月18日まで一般公開する。入館料は一般700円、大学生350円、高校生・70歳以上は無料。(古賀史生)