MICE誘致への期待や課題を話し合ったパネル討論=佐賀市文化会館

基調講演でMICEによる経済効果などについて語る山本牧子さん=佐賀市文化会館

 来春オープンするSAGAアリーナ(佐賀市)への、学会や展示会など多くの集客が見込めるイベント「MICE(マイス)」の誘致をテーマにしたシンポジウムが5月30日、佐賀市文化会館で開かれた。イベントプランナー山本牧子さんの基調講演と、山口祥義知事や県内の経済、スポーツ関係者らが登壇したパネル討論で、佐賀の魅力を生かしたMICE誘致について議論した。要旨を紹介する。(江島貴之)

 【基調講演】

 MICEによる経済効果で大きいのは、ビジネスイノベーションの創出。会って話をすることでアイデアが生まれる。また、ツーリズム効果も高い。参加した企業の幹部や研究者らは、家族を連れて再び訪れてくれる。MICEは平日に開催されるので、オフシーズン対策にもなる。

 関わる業界は一般観光と重なる部分もあるが、MICEではさらに会議室、レセプション会場、音響や照明など多くの分野に効果が波及する。1人当たりの消費額も多い。大きな国際会議は数年前に開催が決まるので、一般観光と比べて為替の影響を受けにくい。「未来を担保する」のがMICEだと言える。

 コロナ禍の現在、開放感やオープンエア、人とのつながりがキーワードになっている。会議スペースのデザインは、オープン、フレキシブル、明るさ、楽しさがトレンド。これらはまさにSAGAアリーナが持つ特長だ。海外の先進事例に倣い、佐賀市文化会館で会議をした後にアリーナまで歩いてランチを取るなど、施設周辺全域を活用してはどうか。

 食は最も重要な要素。だが、日本のイベントはファストフードが中心で、食事がおいしいというイメージはない。SAGAアリーナは固定概念を覆す、食に力を入れるアリーナを目指してほしい。嬉野茶や海中鳥居(太良町)など強力なコンテンツを生かし、県内各地に観光客を送り出す送客施設にもなってほしい。

 せっかくアリーナができるのに、待っていては何も起きない。多くの人が「自分事」としてMICEに関わってほしい。佐賀には豊富なコンテンツがある。あとはどう調理するかだ。

 

 【パネル討論】

 パネル討論には山本牧子さんと山口知事のほか、竹下製菓(小城市)社長の竹下真由さん、佐賀商工会議所青年部会長で天吹酒造(みやき町)社長の木下壮太郎さん、バスケットボールの佐賀バルーナーズを運営するサガスポーツクラブ社長・田畠寿太郎さんが参加。MICEを生かした地域活性化と誘致の課題を考えた。

 山本さんが「佐賀には焼き物や日本酒など『本物』がある」と評価すると、MICE誘致が富裕層向けの県産高級ブランドづくりの契機になることを期待する意見が続いた。木下さんは「『蔵を見たい』という外国人は多い。佐賀のいいものをどこで食べられるか、どんなプレゼンテーションが必要か県を挙げてみんなで考えるべき」と訴えた。

 山口知事は課題として「普通はみんなの機運が盛り上がってから(施設が)造られるが、佐賀は先にサンライズパークが整備された。初めての施設なので、経済界もMICEに対する態勢を取ったことがない」と指摘し、協力を呼びかけた。竹下さんは「MICEの効果を伝えるとともに、日常生活に関わる渋滞などの対策を取ることが、誘致の機運を高めることにつながる」と注文した。

 

 【MICE(マイス)とは】

 多くの集客や交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称。企業などの会議(Meeting)、報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際会議(Convention)、展示会・イベント(Exhibition・Event)の頭文字を取った。