昼食で利用する飲食店の女性が「少しだけ値上げしました」と申し訳なさそうに話した。小麦や食用油などの値上がりで、どうにもならないという。いろんな原材料の値上がりがニュースで流れており、負担を分かち合うのはやむを得ない◆支払いの際に驚いたのは値上げの金額。女性の恐縮ぶりから、少なくとも50~100円程度は上がったのかと想像していたら、ランチでわずか10円の値上げだった。客を大切にする気持ちがぎりぎりの価格設定に表れている◆物価高騰対策に充てる国の補正予算が成立した。燃油価格の上昇を抑えるための補助金拡充などが盛り込まれている。岸田文雄首相は「原油高、物価高騰は重大な問題。国民生活と事業に対する影響をできるだけ抑える」と強調した◆帝国データバンクが食品主要企業105社を対象に実施した調査によると、今年1~5月に4770品目が値上がりした。6月以降については、計画が判明した分で3615品目が値上げの予定。企業努力で吸収可能な余力を超えたケースが増えていると分析する◆事業規模の大小にかかわらず、値上げする側も心苦しい。小売店や消費者も痛みを分かち合い、それぞれに踏ん張っている。政治は「10円の値上げ」に苦慮する人たちの支えになっているか。通常国会が閉じればすぐに参院選である。(知)

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