これはコロナが流行する以前の話です。小学3年生の男の子が「37.5~38℃前後の熱とせきが1週間以上続き、普段より元気がないようだけれど、生活はなんとかできている」と受診しました。もともと軽いぜんそくがあるのと、聴診で軽い喘鳴(ぜんめい)があったので、せきは上気道炎(風邪)で誘発されたぜんそくの増悪ではと思いました。しかし、ぜんそくの薬が有効でなく、微熱が続くため胸のレントゲン写真を撮影したところ肺炎でした。マイコプラズマ肺炎を疑い抗原検査を実施しましたが陰性。ウイルス性肺炎と考えましたが、念のためと肺炎クラミジアのPCR検査を実施したところ数時間後に陽性が判明し確定診断がつきました。

 クラミジア肺炎は子どもからお年寄りまでかかり、コロナやインフルエンザ、マイコプラズマと同じく飛まつ感染をします。市中肺炎の2~20%の原因だといわれています。マイコプラズマ肺炎やウイルス性肺炎と症状が似ていて区別できず、細菌性肺炎のように症状が激烈でないため、つい油断をしがちです。コロナをはじめウイルス性肺炎は抗菌薬が無効ですが、クラミジアは有効な抗菌薬があるので確定診断をすることは大事です。この子は抗菌薬を飲み始めると熱が下がり、元気が出てきました。せきはすぐには改善せず、その後もしばらく続きました。せきは長く続くことが多いようです。

 ところで、コロナが流行している昨今コロナのみが注目され、コロナの検査が陰性だと安心してしまい、つい解熱剤やせき止めなどの対症療法のみで経過観察となりがちです。コロナのPCR検査が陰性でも、発熱とせきの症状が続く場合は肺炎でないか注意しなければなりません。微熱とせきが続き、元気がなく何となく変だと思ったときは、もう一度よく診てもらうことが大事です。

 クラミジアには乳児に結膜炎や肺炎を、鳥を飼育している人に鳥からうつる肺炎“オウム病”をおこす仲間がいます。いずれも抗菌薬が有効です。

 

浜崎 雄平(はまさき ゆうへい)
佐賀整肢学園 からつ医療・福祉センター顧問。佐賀大学名誉教授。
1948年、鹿児島県日置市生まれ。九州大医学部を卒業し、テキサス大やオクラホマ大研究員などを歴任。
84年から佐賀医大(現佐賀大学医学部)小児科講師として勤務し、00年に同大小児科学教授就任、09年から医学部長を兼任する。
14年から現職。専門分野は小児の呼吸器/循環器疾患、アレルギー疾患。

このエントリーをはてなブックマークに追加