佐賀学ブックレット第9巻『小城藩主鍋島直能~文雅の交流』を発表した中尾友香梨教授=佐賀市の佐賀大学

 小城公園の前身にあたる桜岡庭園を全国的な名所に育てた小城藩2代藩主鍋島直能(1622~89年)の業績をたどる『小城藩主鍋島直能~文雅の交流』を、佐賀大学の中尾友香梨教授が出版した。

 鍋島直能は、佐賀藩初代藩主鍋島勝茂の孫に当たり、小城藩を成立させた初代藩主元茂を父に持つ。父元茂が柳生宗矩から免許を授けられた武人だったのに対して、直能は京都の公家衆と交わるなど文雅の道に進んだ。公家の飛鳥井雅章に師事して和歌、蹴鞠、書道を究めた上、庭園の整備や和歌集の編さんなどに取り組んでいる。

 直能が整備した桜岡庭園について、中尾教授は「京都の公家文化を小城に再現するための文化装置であった」と指摘する。直能は趣向を凝らした桜岡庭園の風景を題材に、上皇や親王、公家、幕府の「林門」らから和歌や漢詩文を募った。これらを「八重一重」と題した作品集にまとめて、公家と武家の和漢の融合を形にしてみせた。

 また、水戸藩主徳川光圀が厚遇した中国・明の儒学者朱舜水とも深く交流した。直能は、当時15歳の少年で、後に小城藩儒の筆頭格となった下川三省の教育を舜水に託している。

 中尾教授は「直能は一般にはほとんど知られていないが、もっと大きなスケールでとらえるべき人物だ。江戸時代に入り、社会が安定していく中で『文雅の力』で藩の家格を底上げしたモデルケースと評価できる」と解説している。

 ▼『佐賀学ブックレット 小城藩主鍋島直能~文雅の交流』(販売・海鳥社)はA5判、100ページ。税込み1100円。