誤った言葉遣いをした苦い記憶はいくつかある。その一つが「雨模様(あまもよう)」。正しい意味を確かめず、曖昧にしたまま間違った使い方をしていた◆辞書を引くと、雨模様は「今にも雨が降りそうな空の様子」とある。雨が降りだしたら雨模様とは言わないのに、どんよりと曇った空だけでなく、小雨が降る天気も「あいにくの雨模様になり…」などと書いていた。恥ずかしい限りである◆あすから6月、本格的な雨の季節を迎える。昨年を振り返れば、佐賀県を含む九州北部は5月15日に梅雨入りし、7月13日に明けた。各地の総雨量は平年より10~40%少なかったが、お盆のころ大雨に見舞われた。今年は被害が出ないことを願いつつ、警戒は怠らないようにしたい◆豪雨災害の要因となるのが「線状降水帯」。気象庁は1年前から発生を確認した時点で情報を出すようにしたが、あす1日からは発生の半日~6時間前に予報する取り組みを始める。民間船舶の協力も受けて観測体制を強化し、スーパーコンピューター「富岳」でデータを分析する◆雨模様と同様に、今にも降りだしそうな天気を表す言葉には「雨意」や「雨気(うき)」がある。降雨の気配からきているという。線状降水帯が発生する気配を察知しようという新たな試み。迅速な対応につながれば良し、雨模様で済めばそれも良しである。(知)

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