陶山神社境内に設置した指定・登録文化財の説明板

 3年ぶりの陶器市も、122万人の人出とともに無事閉幕し、また有田の町に静けさが戻ってきた。小さな町にどっと買い物客が押し寄せ、何とも不便な生活を強いられる1週間なのだが、昨年まで2度の閑散とした町内のうら寂しさを経験すると、不自由さもまた格別に感じられるから不思議である。

 有田最大のイベントを大過なくこなしたことで、細心の注意は必要ながら、今後の行事開催のハードルがぐっと下がったことも確かである。コロナ禍前にはより多くの観光客を呼ぶべく、さまざまな仕掛けが計画されていたが、そろそろ再始動というところか。

 その小さな取り組みの一つというわけではないが、有田町教育委員会では、このほど陶山神社敷地内に、指定・登録文化財の説明板を設置した。境内には、明治期以降各地区などから競うように多くの奉納品が寄進され、磁器生産で潤った町らしくかなり立派なものも多く、まるで野外博物館の様相を呈している。

 そのうち、よく知られる磁器製鳥居は国の登録有形文化財、幕末期の八天社への奉納品を陶山神社本殿に移設した磁器製玉垣、佐賀や博多の一流の鋳物師に制作を依頼した青銅製の燈籠や狛犬が町の指定文化財となっている。

 これまでは案内がなく、磁器製鳥居以外は見過ごされてきたが、説明板によりその価値を再認識していただければと思う。

(有田町歴史民俗資料館長・村上伸之)