海外在住有権者の最高裁裁判官の国民審査権を巡る25日の最高裁大法廷判決の要旨は次の通り。

 【現行法の違憲性】

 憲法は国民主権を定め、公務員の選定や罷免は国民の権利だとした上で、最高裁裁判官の国民審査を規定している。憲法は一切の法律や命令などの憲法適合性を決定する終審裁判所としての最高裁の地位や権限を考慮してこの制度を設け、国民の権利として国民審査権を保障している。審査権は国民主権の原理に基づく主権者の権限として、選挙権と同様の性質を持ち、国民に審査権行使の機会を平等に保障していると解するのが相当だ。

 審査権と権利行使の制限は原則として許されず、制限にやむを得ないと認められる事情がなければ憲法に違反すると言わざるを得ない。

 在外有権者は現行法上、審査権を行使することができないが、憲法によって審査権を保障されていることに変わりはない。最高裁裁判官国民審査法が定める投票用紙の作製や投票方式に関する取り扱いを前提にすると、在外国民審査制度の創設については運用上の技術的な困難があることを否定できないが、選挙権については既に投票の制度が設けられ、複数回の選挙が実施されている。

 技術的困難の回避のために現行と違う方式を採用する余地がないとは断じがたい。国民審査の公正を確保しつつ、在外有権者の審査権行使を可能にするための立法措置を取ることが事実上不可能か困難とは言えず、権利行使を可能にする対応が何ら取られていないことにやむを得ない事情があるとは到底言えない。現行法が在外有権者に審査権行使を全く認めていないのは憲法違反だ。

 【次回の国民審査で投票できない違法性】

 原告は次回の国民審査で審査権を行使させないのが違法との確認を求め、訴えの適法性が争われている。国民審査法が在外有権者に審査権の行使を全く認めていないことによって審査権を行使できない事態が生じる場合、個々の在外有権者が持つ法的地位に現実の危険が生じているといえる。

 審査権は、具体的な国民審査の機会に行使できなければ意味がない。加えて、国が審査権を行使させないことが違法であることを確認する判決が確定した際は、国会がその判断を尊重するものと考えられる。

 従って、現在も海外在住の原告1人に関する違法確認の訴えは適法だ。そして国民審査法が在外有権者の審査権行使を認めないのは違憲であり、請求を認めるべきだ。

 【国の賠償責任】

 国会は選挙に関する在外投票の制度創設などを通じ、在外国民審査権に関する憲法上の問題を検討する契機もあったのに、長く所要の立法措置を取らなかった。遅くとも2017年の国民審査時点では立法措置を取る必要性が明白だったのに、正当な理由なく怠ったのは国家賠償法上の違法があったというべきだ。原告らの損害賠償額につき、1人当たり5千円を相当とする。【共同】