現地で電力事業を説明する川口信弘さん

 「そのものを狙うな」。これは、みやき町出身でリコー三愛グループ創業者の市村清さん(1900~68年)の著書のタイトルです。

 私は国内で屋根屋として培ってきたノウハウを生かし、産業用の軽量太陽光パネルの仕事に関わっています。PPA(電力購入契約)のビジネスモデルで、設計から建設まで手がけるEPCの一角を担う商いをさせてもらっています。また、アフリカの途上国で非電化村の屋根を利用した電力事業を進めています。

 かつて、十数年前に出合ったフィルム式の太陽光を売りまくろうとミャンマーを目指しました。しかし、隣国の中国勢の商材に太刀打ちできず完敗しました。いくら信頼性の高い日本製といえども、高価では売れませんでした。

 アフリカでの取り組みも最初の頃は同様でした。みんな「この太陽電池が欲しい」と必ず言うのですが、金額を聞くと消沈してしまいます。その後の交渉は値引き合戦になっていくわけです。互いにとって不幸の始まりです。高いのだから売れないのは当然です。頭の中では分かっているのですが、行動が伴いません。

 そうです。私は太陽電池そのものを売っていたのです。彼らが欲しいのは太陽電池ではなく、明かりです。太陽電池は結局は電源なわけで、その先の効果としての明かりを売るのに頭を切り替え、農村部で使える街灯をつくりました。

 安全な生活、経済活動、教育環境…。明かりはさまざまなものを生み出すことに気づきました。今は、特に教育を中心に国づくりを推進するためのツールを売っていると意識しながら活動しています。

 売りたいものの向こうにある豊かさを提案し、アフリカの人々と共にベクトルを合わせて進んでいく。それは私ができる最大の武器だと痛感しています。

 先人の言葉に助けられながら。そいぎんたあ。

(毎週火曜掲載)