早潮丸(左)にけん引され、北海道・網走港を出港する作業船「海進」=22日午後

 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故で、「日本サルヴェージ」の作業船「海進」が22日夕、沈没現場に向け網走港を離れた。23日にも船体の引き揚げ作業が本格的に始まる。事故は同日で発生1カ月。乗客乗員12人の行方は分からないままで捜索が続く。第1管区海上保安本部(小樽)は、運航会社社長や船長の業務上過失致死容疑で捜査を進めるほか、船体を分析して事故原因の解明を急ぐ。

 佐賀県関係では、西松浦郡有田町の男性3人が巻き込まれた。これまでに林善也さん(78)と岩永健介さん(74)の死亡が確認されており、1人が行方不明となっている。

 カズワンは知床半島沖の水深約120メートルの海底に沈む。国土交通省や1管によると、海進の潜水士が23日以降、深い海で作業できる「飽和潜水」で船尾を持ち上げ、海底との隙間にナイロン製の帯を通す。そこに海進から下ろしたワイヤを取り付け、水深10~20メートルまでつり上げる。網走港近くまでえい航し、早ければ24日に海進に載せ、数日かけて船内の海水を抜いてから陸に揚げる。

 国交省は事故原因究明などのために引き揚げが必要と判断し、海上保安庁が日本サルヴェージと契約。運航会社「知床遊覧船」の義務ではないため、同社に費用約1億4千万円は請求しない。

 不明者を巡っては、日本サルヴェージの潜水士が20日までの2日間、カズワン内を調べたが発見できなかった。ロシアが実効支配する北方領土・国後島西岸では2人の遺体が見つかっており、1管は乗客乗員の可能性があるとみて、同国と情報交換を進める。船舶や航空機は22日も洋上から不明者の捜索に当たった。

 事故当日、桂田精一社長(58)と豊田徳幸船長(54)=行方不明=は荒天予報を把握しながら同社の運航ルールに反しツアーを実施した。1管は、2人の関係先の家宅捜索や桂田社長の事情聴取を行うなどして捜査。国交省は知床遊覧船の事業許可の取り消し手続きを早ければ今週前半に始める。