オーストリアのウィーン近郊にあるロースドルフ城の「陶片の間」=オンラインツアーで紹介された画像

オーストリアのウィーン近郊にあるロースドルフ城の「陶片の間」=オンラインツアーで紹介された画像

 オーストリアの首都ウィーン近郊のロースドルフ城に眠る古伊万里の破片の謎に迫るオンラインツアーがこのほど開かれた。欧州の王侯貴族を魅了した佐賀県産磁器がどのように海を渡ったか、同城でなぜ破壊の憂き目に遭ったかなどを関係者が解説。参加者は今月末から県立九州陶磁文化館(有田町)で始まる企画展への期待を膨らませた。

 オンラインツアーは全日空(ANA)が実施した。ツアーではロースドルフ城の城主であるピアッティー家の関係者が、城は1000年ごろ建てられ、アジアの陶磁器が欧州で流行していた17世紀から作品の収集が始まったことを紹介。その後、第2次世界大戦末期に破壊されたと話した。

 ツアーではANAの現地支店職員が城を案内する一幕もあり、無数の陶片が保管されている部屋の映像も共有された。修復事業に取り組んでいる一般社団法人「古伊万里再生プロジェクト」(東京都)の代表理事で茶道家の保科眞智子さんは「壊れた陶片をつないで平和の象徴とし、その存在を多くの人に伝え、思いをつないでいきたい」と活動にかける思いを語った。

 ツアーに解説役として登場した同文化館の鈴田由紀夫館長は「歴史の証人として割れてもなお、大事にしていただいていて感銘を受けた。小さな田舎町からウィーンまでたどり着いたことにも歴史のロマンを感じる」と話した。(大橋諒)