田んぼダムの効果について説明する吉川夏樹教授=武雄市文化会館

 治水対策の一環として注目される「田んぼダム」をテーマにした講演会が21日、武雄市文化会館で開かれた。田んぼダム発祥地の新潟県で研究活動する新潟大農学部の吉川夏樹教授が講師を務め、田んぼダムの効果や運営上の注意点などを分かりやすく解説した。

 田んぼダムは激しい雨が降った時、水田に溜(た)まった水を一気に排水路に流さず、調整板などを利用してゆっくりと流し河川の急激な水位上昇を抑える方法。武雄市内では出水期に備え朝日、東川登、西川登町の農家の協力を得て160ヘクタールの水田を確保し、試験的に運用する準備を進めている。

 吉川教授は田んぼダムの特徴を、治水ダムを建設するよりもコストが低く、設置が簡単で即効果が出ると説明。「下流域のために上流の農家の協力を得るなど合意形成の難しさはあるが、活用すれば長期間水害から地域を守ることにつながる」との見解を示した。

 新潟や富山で進める導入事例をスライドと動画で解説した。日常の水管理機能と大雨が降った時の流出量調整機能が、分離型と一体型の二つのタイプがあることも説明。適切な装置の条件として「営農の邪魔にならず、いざという時に大きな効果を発揮するもの」と強調した。

 市民約100人が参加。北方町医王寺地区から参加した森孝畑さん(67)は「必要性は理解できたが運用面では課題もあると感じた。行政がしっかりと調整役を果たしてほしい」と話した。(澤登滋)