取材に応じる荒牧順子さん

 佐賀県は4月、医療的ケア児に関する包括的な支援を行う「佐賀県医療的ケア児支援センター」を佐賀市に設置した。支援センターの責任者で、医療的ケア児等コーディネーターなどの資格を持つ荒牧順子さん(43)に話を聞いた。

 ―センターの特徴は。

 小児科や新生児集中治療室(NICU)での勤務経験がある看護師4人と、就園支援コーディネーター1人が在籍している。

 電話、メールでの相談受け付けのほか、特に無料通信アプリ「LINE」でも気軽に相談できるのが特徴だ。退院後の戸別訪問や就園・就学時のサポートについて、伴走型の支援を誰一人取り残さずに行うことを目指している。

 ―センターの運用が始まって感じていることは。

 医療的ケア児が退院する前に、これから関わっていく医療従事者、行政関係者、事業所などで「支援のスクラム」を組んでいる。当事者の症状を関係者に伝えるために医療機関が開く会議に参加したり、退院後に自宅を訪問したりしている。

 先日、退院したお子さんがいて早速実践したが、とてもよかった。人工呼吸器をつけたので、行政関係者から蓄電池の購入費用に関する補助申請の話ができたり、補助が出るまでは訪問看護の事業所が蓄電池を貸し出したりすることが決まった。

 特に退院直後は当事者たちの不安が大きい。この時期にどんな手続きが必要か、体調を崩したときにどう対応するかなど、すぐに連絡できる環境をつくれたらと思っている。

 ―医療的ケア児を取り巻く課題は。

 まずは災害対策。2021年5月に災害支援対策法が改正され、要支援者の個別避難計画を考えるべきということが決まったが、医療的ケア児については地域間で対応にばらつきがある。家族や支援者と協議を重ねて避難訓練までしている自治体もあれば、計画さえまだ完成していない市町もあり、改善が必要だ。

 就園・就学支援も重要だ。支援センターの前身であるホットライン事業を行っていたときに、保護者からはもちろん、保育園の関係者からも相談があった。どうしたら希望する園や学校で受け入れることができるのかを一緒に考えたい。

 医療的ケア児に関して理解を深める機会が不足していて、看護師らの支援者が足りないという声を聞く。多くの知識が求められる医療的ケア児の対応ついて、症状やたんの吸引などのケア方法を学べる講座を用意していきたい。

 ―運営にかける思いは。

 一人一人症状が違う中、関わる人みんなで困りごとを共有できるような環境をつくって、悩みやニーズに応じた支援ができるシステムを構築したい。医療的ケア児の成長に合わせて継続的に支えるため、みんなが自然に手を差しのべられるような地域づくりができればと思っている。

=おわり