北海道・知床半島沖の観光船「KAZU 1(カズワン)」沈没事故で国土交通省は20日、水深約120メートルの海底に沈む船体を23日にも引き揚げると明らかにした。深い海で作業が可能となる「飽和潜水」で捜索や調査に当たった専門業者「日本サルヴェージ」に作業を委託し21日に着手する。また国交省は運航会社「知床遊覧船」の事業許可の取り消し手続きを早ければ来週前半に始める方針。

 船内捜索は20日、当初予定していた2日間の作業を終えた。第1管区海上保安本部(小樽)は、行方不明者は確認できなかったと発表した。

 海上保安庁によると、引き揚げ作業1日目はドアなどの開口部を閉じ、引き揚げの妨げになるアンテナなどを外したり、ロープで縛ったりする。2日目は船の後部を少し持ち上げ、ナイロン製の帯を隙間に通す。作業船「海進」が帯を巻き付けた金具とワイヤで水深10~20メートルまで巻き上げた後、網走港の近くまでえい航。3日目は引き揚げて海進の上に載せる。陸に揚げるのは5~7日目になる見通し。

 費用は約1億4千万円。引き揚げは原則、船主側に責任があるが、原因究明や再発防止の観点から早期に実行する必要があり、知床遊覧船には請求しない方針。

 また1管は20日、北方領土・国後島の西岸で新たに1人の遺体が見つかったと、ロシア側から19日に連絡があったことも明らかにした。乗客乗員の可能性がある。同島西岸では6日にも女性の遺体が発見され、海上保安庁はロシア側と情報交換しているが、身元の特定には至っていない。

 日本サルヴェージは20日までの2日間、飽和潜水により船内捜索を実施。船内から乗客の持ち物とみられるカメラやバッグ、傘など計10点を発見、引き揚げた。持ち主が分かる物もあったという。

 事故は4月23日に発生。カズワンの乗客乗員26人のうち、これまでに乗客14人が発見されたが、いずれも死亡し、12人の行方が分かっていない。

 佐賀県関係では、既に死亡が確認された西松浦郡有田町の男性2人と一緒に乗船した可能性がある同町の70代男性の安否がまだ分かっていない。

(共同)