タマネギの高騰で県内のスーパーでは、新タマネギを例年の倍以上の価格で販売している=佐賀市内

価格高騰が続く中、収穫が進むタマネギ=杵島郡白石町今泉

 佐賀県産タマネギの価格高騰が続いている。最大産地の北海道が不作で加工用の需要が急増したことが背景にあり、全国2位の佐賀県産は出荷価格が例年の4~5倍に跳ね上がった。生産者にとっては久々に明るい話題となる一方、小売店は買い控えを恐れて値上げ幅を2倍程度にとどめざるをえず、消費者もさまざまな物価上昇で負担が増しており、料理に重宝する材料の値上がりで家計の防衛策に腐心している。

 佐賀市のスーパー「アルタ開成店」で山積みにされた県産の新タマネギ。1個106円でばら売りしている。昨年は2~3個を同じ価格で販売していた。同店の萩原法昭課長代理(43)は「値頃感がなくなるからこれ以上、価格を上げるのは無理。日持ちしないので特売をするが、正直、赤字だ」と頭を抱える。

 ハンバーグやサラダなど家庭料理で重宝する野菜だけに、買い物に訪れた60代女性は「一度に使う量を減らし、他の料理に使い回している」と話す。50代女性も「チラシをチェックし、安い店や特売日を確認して買い物に出掛けている」とやりくりする。

 JA関係者によると、昨年6月の干ばつなどで北海道産が不作となり、加工、冷凍食品向けの需給が逼迫(ひっぱく)。新型コロナウイルス対策でロックダウンした中国からの輸入が4月に止まったことも高値に拍車をかけた。佐賀青果市場は「北海道産が前年の半分ぐらいしか入ってこず、一時は県産の取引価格が前年の4倍まで上がった」。北海道産が出回る8月ごろまで高値基調が続くとみている。

 「15年近くやってるがこんな状況は初めて。値が下がらない。今は例年の4~5倍かな」。県産の7割を占める杵島郡白石町で、15ヘクタールのタマネギ畑を持つ木室信幸さん(74)は笑顔で収穫に追われている。出荷を始めた3月ごろ、3500円ぐらいだったコンテナ1箱(約20キロ)の出荷価格は今は4千~5千円。「いつもは大型連休あたりで1千円ぐらいに落ちるが、今年は高値のまま」。収穫は早生から中生に移っているが「このまま維持してほしい」と期待する。

 JAさがによると、JAグループ佐賀のタマネギの作付面積は約1300ヘクタール。2年前のコロナ禍の需要減を受け、22年産は出荷量を平準化しようとマルチ栽培の一部を露地物に転換した。このため、早生が出始めた4月の出荷量は前年比38%減の9041トンだったが、5月18日時点では21%増の8300トンまで回復した。担当者は「最初は少なかったことも高騰に影響したかもしれないが、全体では例年と同じぐらいの量になるはず。担い手の高齢化などで作付けは1割減ったが、生育は順調で平年作となりそうだ」と手応えを口にした。(大田浩司、小野靖久、志波知佳)