北海道・網走港を出港し、観光船の沈没現場に向かう作業船「海進」=18日午後

 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故で、深い海でも活動可能な「飽和潜水」による捜索を実施するため、拠点となる作業船「海進」が18日午後4時ごろ、沈没現場に向けて網走港を出港した。潜水士が直接、船体を調べるのは初めてとなる。第1管区海上保安本部(小樽)によると、19日午前7時ごろに沈没現場へ到着予定で、午後1時から潜水作業が始まり、カズワン内部にも入って行方不明者がいないか確認する。

 民間の潜水士3人が海進にある密閉された特殊な部屋で、時間をかけてヘリウムや酸素の混合ガスを吸いながらカズワンが沈む深さ約120メートルの海底の水圧に体を適応。その後専用カプセルで海底へ向かう。潜水士による19日のカズワン船内での活動は最大で5時間を予定。作業が順調に進めば20日には終了し、船体の引き揚げに向けた調査を行うとしている。

 1管は18日、ロシア側が回収した犠牲者名義のキャッシュカード入りのリュックサックが在ユジノサハリンスク日本総領事館に引き渡され、今後、空輸で海上保安庁に届くと発表。また、地元漁師が知床岬付近の海底で青いパンツや黒のポーチなどを回収したことも明らかにした。乗客乗員のものか確認を進めている。

 斜里町を訪れている国土交通省の坂巻健太審議官は、潜水作業に合わせて乗客の家族が同町に駆け付けていることを明らかにした。

 なお乗客乗員12人の行方が分かっておらず、不明者発見は半月以上途絶えている。1管などは18日、船舶と航空機で捜索を続行。ロシアが実効支配する北方領土・国後島周辺でも巡視船2隻が洋上を調べた。道警は16日以降、陸上からの捜索範囲を知床半島より南側の沿岸部に拡大したが手掛かりは得られていない。

 事故は4月23日に発生。乗客乗員26人のうち、発見された乗客14人の死亡が確認されている。

 佐賀県関係では、既に死亡が確認された西松浦郡有田町の男性2人と一緒に乗船した可能性がある同町の70代男性の安否がまだ分かっていない。【共同】