伊藤忠商事の元社長で、駐中国大使も務めた丹羽宇一郎さんが若者に向けた「仕事論」を書いている。戦後の高度経済成長期を駆け抜けた世代。現代の若者には気概や自主自立の精神が欠けていると厳しい言葉を並べ、努力する大切さを説いている◆入社してからの10年間はアリのように泥にまみれて働け。努力を続ければ「DNAのランプ」がともり、才能が開花する-。丹羽さんの実績も相まって仕事への熱量や強い精神力に圧倒される◆ひたすらに打ち込んでこそ仕事の喜びが深くなるのは確かだが、一方でワークライフバランスが重視される昨今である。バランスを決めるのは一人一人であり、職場の都合や精神論を押しつけるわけにはいかない◆厚労省の職員約1500人を対象とした職場満足度に関する調査の記事が目に留まった。「厚労省を良い職場として家族や友人に勧められるか」という設問に、全体の半数が勧められないとの考えを示した。20代後半~30代の若手職員は40代以上に比べ、その割合が高かったという◆どう働くかは、どう生きるかにつながる。多少の不満があっても、やりがいや誇りが持てる職場環境を整えたい。丹羽さんの叱咤(しった)激励を受け止めつつ、令和の社会に合わせて変わらなければ若者にそっぽを向かれる。さて、あなたの職場はお勧めできますか。(知)

下記のボタンを押すと、AIが読み上げる有明抄を聞くことができます。