スポーツ担当をしていた25年ほど前、少年スポーツの大会ではいつも、保護者の声援に圧倒された。水泳の池江璃花子さんは「声援をプレッシャーに感じたことはない」とテレビで話していたが、メンタルが強い選手ばかりではないだろう。重圧に押しつぶされそうになる選手もいると思う◆全日本柔道連盟が、毎年夏に開いていた個人戦の小学生学年別大会の廃止を決めた。行き過ぎた「勝利至上主義」の見直しが理由という。どんなスポーツでも「勝利」は目標の一つ。ただ、選手以上に指導者や保護者が熱くなり、審判や子どもたちに心ない言葉をぶつける場面も見てきた◆スポーツが、勝者だけしか楽しめないのかといったらそうではない。大会では圧倒的に敗者が多いからだ。勝つための方策を考え、努力をする過程にこそ楽しみがある◆もちろん、練習の成果を披露する舞台は必要だし、競い合ってこそ各競技のレベルが上がる。ただ、人は本来、ミスをするものなのに、ミスを許さない風潮が強くなりすぎているように思う。ミスをしないではなく、ミスを少なくすると考えたい◆柔道連盟の方針は他の競技にも影響を与え、大会を見直す動きが出ている。結果は大切だが、自分が熱くなれるものを見つけ、打ち込んだ時間はその人の財産。長く、温かい目で成長を見守りたい。(義)

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