田の草を踏み込んで一日数列進んでいく

 マーガレットが芝の庭をぐるりと取り囲んでいる。ゆで卵を半分に切ったような心を明るくする白と黄色がそこらじゅうで揺れている。

 田植えが終わり、今は田んぼの草取りに励んでいる。友人から借りた鎖を使った道具やピアノ線を張った下駄(げた)のような道具で少しずつ草を取っていく。ドロドロになって楽な作業ではないが、かれこれ20年続けてきた我が家名物かもしれない。

 そのおかげなのか、毎年田んぼからはホタルが舞い、ゲンゴロウも暮らしている。そのお米を毎日噛(か)み締め、カフェでもお客さんに召し上がってもらっている。

 しかしなんでそんな面倒なことをするのだろうか。

 環境を守るなどという正義っぽいことは柄に合わない。それよりも僕ら人間の体は自然の一部、というよりも自然そのものだと素直に感じるからかもしれない。人間は0・1ミリの卵子から始まり、生まれてから母乳や自然界のさまざまな食べ物をとって、今の体になっている。言ってみれば、体は土や海からできている。まさに自然が人間の形をして歩いている。体は自然から与えられたもの。そんなふうに世界を見ると、いろいろが変わっていく。

(養鶏農家・カフェ店主 小野寺睦)