11年間、佐賀新聞「きやぶ百景」に掲載した作品を冊子にまとめた水田哲夫さん

500年前の六地蔵や疫病を防ぐ風習、街角に残る平和を願う地蔵など、普段見過ごしがちな貴重な風景が並ぶ「きやぶ百景」絵画集

 佐賀新聞の鳥栖・三神エリアリポート(毎週土曜掲載)の「きやぶ百景」コーナーに10年以上にわたり水彩画を掲載してきた鳥栖市の水田哲夫さん(82)が、掲載作品を冊子にまとめた。現地に足を運んだり、昭和30年代の「鳥栖の市 途切れぬ人波」など記憶の中の風景を再現したりするなど、丁寧に描き上げた42枚を絵にまつわる文章とともに収録している。

 きやぶ百景は、約400字の文章と水彩画をセットに掲載している。水田さんは家業の和菓子店の傍ら鳥栖美術協会会長を長年務め、文章担当の高尾平良さんの依頼をきっかけに2010年3月から21年11月まで作品を掲載。月1回のペースで鳥栖市、みやき町、基山町の風景を描いてきた。

 高尾さんの文章から「初めて知ることも多かった」と水田さん。新鳥栖駅近くの六地蔵は500年前の室町期のものとされ、江戸末期に長崎から江戸へ旅したシーボルトが中原宿で休憩したことも印象深かったという。

 高尾さんが19年に他界してしばらくは、文章も書く一人二役を担当。自身の経験を基に、当時はなかなか買い手がつかなかった商工団地をPRするために実物のロケットを借りてきた「『とす市民博』の記憶」や、資金集めやエキストラ探しに自ら奔走した「映画『月光の夏』の思い出」などを絵と文章に残した。

 「気に入った一枚を挙げるのも難しい」と語るほど一枚一枚、丁寧に描いたものばかり。「高尾さんやリポーターさんが書いてくれた文章があるおかげで、一つ一つの絵に目が留まる。他にはない画集になったのではないか」と話す。

 A4判24ページ。300部を作成し、橋本康志市長に贈呈したほか、市内8カ所のまちづくり推進センターと市立図書館にも設置予定。希望者には実費負担で配布する。問い合わせは水田屋本店、電話0942(82)2071。(樋渡光憲)