本会議終了後、記者団の取材に応じる山口県阿武町の花田憲彦町長=12日午前、阿武町役場

 山口県阿武(あぶ)町は12日、住民税非課税の463世帯を対象とした新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円を、誤って1世帯に振り込んで回収できなくなった問題で、この世帯に全額の返還を求めて提訴する議案を町議会に提出し、本会議で全会一致で可決された。阿武町は同日、世帯主の男性(24)を相手取り、山口地裁萩支部に提訴した。

 町によると、男性は返還を拒否し「入金されたお金は口座から動かし、戻せない。罪は償う」と説明した後、連絡が取れなくなったという。町は「不当利得の返還」を求める訴訟を起こし、弁護士費用などを含め5100万円余りの支払いを請求する。本会議終了後、花田憲彦町長は「許せない。大切な公金で今からでもいいので返してほしい」と訴えた。

 給付金は1世帯当たり10万円。町が463世帯に10万円ずつを振り込んで正規の手続きを終えた後の4月6日、町職員が男性の名前と4630万円の金額が記載された振込依頼書1通を町役場で印刷して作成し、金融機関に提出した。同8日に全額が男性の口座に振り込まれた。

 男性の世帯は全463世帯の名簿の一番上に記載され、振込依頼書は町役場のシステム上、名簿の一番上の世帯しか記載されない仕組みになっていた。町職員はこの仕組みを認識していなかったとみられ、振込依頼書が手続きに必要な書類だと勘違いして提出したと説明しているという。【共同】