夫婦で相談 磁器が整然と並ぶ売り場で器を吟味。二つ三つと欲しいモノが増えていく

 春の陶都に久々のにぎわいが戻った。「お待ちしていました」「やっと来られてうれしい」。マスク越しに対面でやり取りを楽しむ光景が広がった。新型コロナウイルスの影響で2年連続で中止に追い込まれた有田陶器市が29日、3年ぶりに開幕した。高止まりが続く感染状況や雨風の影響が懸念されたが、待ち焦がれた県内外の焼き物ファンが「有田」に帰ってきた。

 午前9時半、陶器市委員会の深川祐次委員長(64)による開幕を告げる放送が歩行者天国のメイン通りに響いた。「お待たせしました。3年分のお買い物を楽しんで」

 広島市から陶器市を目当てに2泊3日で西松浦郡有田町を訪れた青山信夫さん(65)。焼き物が大好きな妻とこれまでに5、6回訪れており、「待ち遠しかった。帰ってきたという感じですね」。なじみの店では再会を喜び合い、初日で既に段ボールいっぱいの掘り出し物を買い込んだ。

 メイン通りで大安成福堂を営む大安カツ子さんは、常連客から「元気にしていて良かった」と声をかけられ、「胸がいっぱい。感謝のひと言」。対面で接客できる喜びをかみしめながら来店者に商品の特徴を詳しく説明していた。

 感染対策には万全を期した。恒例のオープニングパレードは中止し、食べ歩きを控える呼びかけも。店側は混雑を避けるために商品の陳列量を抑え、通路を広く取り、タイムセールを取りやめたりしていた。

 今年は1人当たりの購入金額が増える傾向がみられるという。老舗メーカーの香蘭社では、コロナ以前に比べ花瓶、陶板のインテリアや高級品がより売れている。「おうち時間を楽しむ人が増えている影響では」と話している。(古賀真理子)