コロナ感染対策用品
県内のある葬儀社が遺体を病院から火葬場へ搬送する際に用いる感染対策用品。下にあるのは非透過性の納体袋=佐賀市内

 新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の葬儀は、割高になる?。佐賀新聞「こちら さがS編集局」(こちさが)に、こんな相談が寄せられた。感染していた県内のある高齢女性の葬儀で、葬儀費用とは別にコロナ対応費として35万円ほどかかったという。コロナによる県内の死者が累計100人に迫る中、感染者の葬儀について改めて調べた。

▽直接火葬場へ

 相談者によると、女性は入院先で感染が判明した。それ以前から高齢で衰弱していたため、直接の死因は「多機能不全」とされたが、間接的な死因にコロナも加えられた。

 遺体は病院から直接火葬場へ搬送され、火葬した後に葬儀を行う「骨葬」で実施した。ひつぎを置く空間と運転席が仕切られた特殊な搬送車(寝台車)で運ぶ委託費なども、35万円に含むと説明を受けたという。

 新型コロナで亡くなった場合の葬儀や搬送などに関して、厚生労働省と経済産業省がまとめたガイドラインによると、死後は呼吸などによる飛沫感染の恐れはなくなる一方、接触感染に引き続き注意を要する。遺体に触れる場合はマスクや手袋、防護服、ゴーグルなどを着用することや、遺体を収容する「納体袋」は体液などを通さない非透過性の物を使うことなどを求めている。

 そうした対策を施せば、火葬前の通夜や葬儀も可能とし、骨葬は対応例として挙げている。

 ▽見えない経費

 県内に複数の斎場を持つある葬儀社では、コロナ患者の通夜や葬儀は全て火葬後に行い、故人の家族など周囲に濃厚接触者がいないことも確認する。

 ガイドラインを踏まえた上で、細かい対応は葬儀社ごとに違いも見られる。ある葬儀社は、透明な非透過性納体袋では「あからさますぎて故人にも失礼」と考え、遺体が見えない通常の納体袋との二重にして納棺。火葬場への搬送に携わった従業員は念のためその後24時間は出勤を控えさせ、家庭にウイルスを持ち込む懸念も考慮してホテルを手配している。

 そうした「見えない経費」で、病院から火葬場への搬送だけでも料金は40万円前後になるという。一方で、その後の葬儀は棺や霊きゅう車などが不要になるため、同社は「単純に40万円を丸ごと上乗せするわけではない」と補足する。

 

▽増える相談

 国民生活センターのまとめによるとコロナ禍以降、葬儀サービスに関する相談は19年度632件、20年度686件、21年度750件と年々増えている。そのうち価格や料金に関する内容の相談の比率も増加傾向にある。

 同センターは昨年7月、コロナ下の葬儀が感染対策のため高額になる場合があるとの注意を促すリーフレットを作成した。「事前に複数の葬儀社から見積もりを取っておき、打ち合わせは喪主だけでなく複数人で聞くことが大切」とした上で、契約の困りごとは自治体の消費生活センターへ相談するよう呼び掛けている。取材した葬儀社も「コロナで亡くなった後、遺体を病院に留め置く時間は限られる。葬儀社をじっくり比較して判断するような時間はないと思う」と、事前の情報収集の重要性を指摘する。

 ▽助成制度も

 コロナ患者の葬儀費用を巡っては、全国には独自に助成制度を設けている自治体もある。茨城県神栖市は国保加入者への葬祭費給付とは別に、21年5月から、感染で死亡した住民の葬儀に10万円を助成している。大阪府枚方市では、コロナで死亡した住民1人につき10万円の弔慰金制度を同年3月に設けた。

 一方、佐賀県内20市町に尋ねたところ、現時点でコロナ感染者の葬祭費を補助している自治体はない。「こちさが」への相談者は、病院や高齢者施設でのクラスターも相次ぐ状況を踏まえ「コロナは災害のようなもの。補助制度などがあってもいいと思う」と訴えた。(志垣直哉)

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